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ホーチミン&アンコールワット旅日記
in
ベトナム&カンボジア


INDEX

6月13日(水)
 急にふっと目が覚めた。何とも言えない感覚が胸からお腹にかけて渦巻いてる感じである。何だか落ち着かない。「お腹が空いてるせいかな?」と思い、夕飯用に買ったチョコレート数枚と、チイにもらったピーナッツを食べ、水を胃袋に流し入れる。それでも何だかおかしい。体中がざわざわする感じで、とにかく落ち着かない。だんだんこの狭い座席に座っているのが苦痛になってくる。ちょうど目の前にあるトイレに誰かが入って行くのが見えた。
 やばい!自分の体の異変にはっきり気付いてしまった。吐くかもしれない、と思ったが、私が位置を確認してあるトイレには今、人が入っている。多分、反対側にもトイレがあるだろう事は予測できる。が、万が一なかった場合、探している余裕はないかもしれない。そう思った瞬間、スチュワーデスさんに助けを求めるしかないと思った。通路側のシートではチイが寝ている。起こすのも悪いし、第一に、起こしている余裕がその時の私には無かった。素早く立ち上がると同時に、チイのシートの頭の部分と前の人のシートの頭の部分に手を置き、腕の力でチイを飛び越え通路に出た。そして、そのままうつむき加減で前へ小走りして行くと、スチュワーデスさんの足が見えたので、「良かったぁ。」と思いつつ、顔も上げずに「Excuse me.Tfeel sick・・・」と言うと「気持ち悪いの?吐きそう?」と日本語が返ってきた。ぎょっとして顔を上げると、そこには日本人のスチュワーデスさんが立っていた。「うわっ。日本人に下手な英語で話し掛けちゃった。」と恥ずかしくなる。が、やっぱりそんな余裕はない。
 そのまま空いているトイレに連れて行かれ、ドアを閉めるやいなやしゃがみ込んでしまった。目の前がチカチカする。軽い貧血を起こしているようで胸がムカムカし、手先がしびれてくる。狭い空間に閉じ込められ、しかも逃げ場のない空の上にいる、と思うとたまらなく不安になり「早く降ろしてぇ・・・・。」と思わずにいられなかった。ずっと調子の悪いお腹と、寝不足と、疲れと、そして急に安心したせいでの結果であろう。10分位してドアを「大丈夫ですか?」とノックされた。「大丈夫です・・・。」と返事をし、それから5分後位に席へ戻った。席に戻るとチイが起きていたので事情を話す。「起こしてくれれば良かったのに。アイちゃんが飛び越えて行ったのは分かったんだよぉ。」と言う。「うん、でももう余裕がなくってさぁ。」と笑い、再び眠りについた。しかし、私は深い眠りにつくことはできず、少し寝ては起き、起きては寝て、を繰り返していた。途中、あまりにもヒマなので外を見てみると、思わず息を呑んでしまうほどきれいな月が輝いていた。月明かりのせいで真っ暗なはずの空が青く輝いている。私はこの月を忘れないようにと、ずっと眺めていた。
 早朝、私たちを乗せた飛行機は関西空港に到着した。次の飛行機まではそんなに待ち時間はない。ベンチに座りぐったりしている私。チイもお腹が痛いと言う。そして死んだようになりながら、7:40発JAL340便にて羽田空港へ飛んだ。着後、まずリムジンバスのチケットを買う。バスの出発時間まで時間があるので喫茶店で休む。時間になり、おみやげで行きよりも重くなったスーツケースをトランクに積み込み、バスの中へと入って行った。そして揺れるバスの中、死んだように眠った。夢を見ることもなく、ただただ眠った。つい何時間か前にはカンボジアやベトナムにいた事を不思議に思いながら・・・。こうして私とチイの、長くて短い、短くて長い、忙しくて楽しかった旅が終わった。

開放感に満たされた瞬間@勝利の門。

あとがき
 こうして旅日記を書いてみると、改めて忙しい旅だったなぁ、と思います。そして、色々な人に出会ったんだなぁ、と嬉しく思います。私とチイの旅は、慎重だったようでどこか抜けていて、やっぱり周りから見たら危なっかしいものだったかもしれません。私たちは気付いていないけど、本当はかなりぼられていたり、騙されていたかもしれません。でも、もしそうだったとしても、私たちはそれに気付きませんでした。つまり、嫌な思いをしていないという事です。それどころか、楽しい事ばかりでした。だから、それならそれでいいのかなと思います。
 私のベトナムとカンボジアのイメージは、当然かもしれませんが、行く前と行った後とでは全然違います。やっぱり行ってみないと本当の事は分かりません。正直なところ、ベトナムもカンボジアも似たような所だと思っていました。だけどそれは大きな間違いで、私が行った所だけで比較する限り、ベトナムとカンボジアは全く違う国でした。ベトナムは思っていたよりも全然栄えていて、人々の生活にゆとりのある国でした。(私が思っていたより、の話しですが。)それにひきかえカンボジアはまだまだ大変な国であることを実感しました。時間がなくて町を見ていないせいもあるかもしれませんが、タクシーの中から見かける、道端で座り込んでいるカンボジア人を見ていると、「カンボジアは違う。」と思わずにいられませんでした。タクシーの中からでさえ、目を合わせるのが怖いと思いました。もちろん、遺跡で出会った人たちはそんなことありませんでしたが。ただ、ホテルの設備にしろ、空港の設備にしろ、ベトナムとカンボジアの差を感じずにはいられませんでした。だけど、どっちにまた行きたいかと聞かれれば、私は迷わずカンボジアを選びます。もっともっとゆっくり遺跡を見て回りたいし、町の様子も見てみたいからです。
 死んだように眠りながら帰った後、元気を取り戻した私たちは、今すぐに写真を現像する事にしました。私が約600枚、チイが約400枚という、写真屋さんもびっくりのものすごい量の写真を現像した後、ファミレスでお互いの写真をチェックし、焼増しに出す物を決めました。決めた、と言ってもほとんど全部なのですが・・・。写真を見始めるとその時の事で盛り上がってしまい、結局家に帰ったのは22:00過ぎで、それから荷物の整理やお土産の整理をし、それから久しぶりにゆっくりとお風呂に入り、ベッドに入ったのは1:00を過ぎていました。そして、次の日から仕事に復活です。なので5:00起き。土曜日がどれほど待ち遠しかった事か・・・。そして、一番私を困らせたのがいつまでも続く腹痛。1週間過ぎても治らず、これは本当にマズイかも、と思い始めた10日目位にようやく治りました。そしてその頃になると、この旅行がはるか昔の事だったような気がしてなりませんでした。
 唯一がっかりしている事は、カンボジアから出したハガキが届かないという事。ベトナムから出したハガキは1週間もしないうちに届いたにも関わらず、カンボジアから出したハガキは今もまだ届きません・・・。一体どこでどうしてるんでしょう、あのハガキたちは・・・。
 来年、またチイとどこかへ旅に行こうと思っています。さて、今度はどこでどんな旅をすることになるのでしょう?今からとても楽しみです・・・!
2001年11月11日


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