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ランカウイ島旅日記
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マレーシア

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12月8日(金)
 待ちに待った12月8日金曜日、早朝。私の家の最寄り駅から出ている電車の始発では間に合わない為、母親に拝島駅まで車で送ってもらい、西武新宿線の始発に乗る。ユーコとアヤとは、7:00a.m.に日暮里駅で会う事になっている。嬉しさのあまり気分は高揚しているものの、寒くて寒くてたまらない。荷物になるのが嫌で、ちょっと厚めの半袖シャツと7分丈の薄いナイロンジャケットのようなものしか着てこなかったのだ。いくら荷物になるのが嫌だったとはいえ、12月初旬の、しかも太陽の「た」の字も見えないような早朝をなめていた。始発電車だけあって暖房も全然効いていないし、人もいないので、本当に寒い。がたがた震えつつ、暖かい島、ランカウイ島に思いを馳せながら日暮里駅へ向かった。
 ユーコとアヤが、私の薄着に驚く。2人とも荷物にならなそうな程度に、暖かそうな格好をしている。う〜、寒い・・・。あぁ、やっぱり私って旅慣れていない・・・。と、こんな事にも心の中で嘆きつつ、京成本線に乗り込む。3人並んで座り、うとうとしながら特急電車で成田空港へ運ばれて行く。足元から暖房が吹き出でいて心地良い。さっきまでの寒さが嘘のよう・・・。
 成田空港に着き、「あっちだよね。」「こっちだよね。」などとテキパキ進んで行く2人にくっついて手続きを済ませる。保険に入るのにセットではなく、自分の好きな保障・額を選んで安く入れる事を知り、「そうか、保険はこうやって入ればいいのかぁ。」と手慣れた2人に尊敬の眼差しを向けつつ、「飛行機に乗るんだ!海外だー!」と、どんどん興奮状態に陥っていく。
 10時30分。私たちを乗せたMH071便はさんざん滑走路を走った後、轟音とともに加速を付け、ふわりと地上から離れて行った。目指すは乗継地であるペナン島。窓から見える景色が、青い空と白い雲のみに変わっていく。飛行機が離陸する瞬間というのは、どうしてあんなに興奮するのだろう。そして、民族衣装を着たスチュワーデスさんや、1人1人の席に付いている画面で映画やゲームを楽しめるシートが、「マレーシア航空ってすごい!」とさらに私を興奮させる。
 17時05分。乗継地であるペナン島に到着。まずは入国審査を受けるためどんどん歩いて行くが、ちょっと分かりづらい。真っ直ぐ行くか左に曲がるか迷って左に曲がって行くと、入国審査を受けれる場所に着いた。そして入国審査を受け、税関を抜けた後、少し外に出てみる。まだまだ日は高く、背の高いやしの木が視界に飛び込んでくる。空気もムっと生暖かい。そして、マレー語で書かれている案内板やマレーシア国旗が描かれているタクシーを見て興奮する。あぁ、南国だ!マレーシアだー!!

飛行機の中から見たペナン島空港。
 何枚か写真を撮った後、出発ホールへ向かう。色々な所で工事をしているため、殺風景で荒れた空港という印象を受ける。まずは、お金を両替する事にした。どの位両替すればいいのか分からずアヤに聞くと、3万円位でいいと言われたので3万円分両替する。3枚の紙切れが何十枚もの紙切れに早変り。一気にお金持ちになった気分だ。それから手荷物チェックを受け、中へと入って行った。ところが中へ入ってきたものの、私たちはどこへ行けばいいのか分からず、アヤが近くにいたスタッフに聞いてくれた。まず、入国審査を受けたを聞かれ、それから向かう場所を教えてくれる。英語を話すアヤに感動しつつ、言われた所へ向かう。そしてユーコが、「さっき迷った場所を真っ直ぐ来たら、入国審査を受けないでここに来れちゃうんじゃない?」と言い、「なるほど。」と思う。
 出発ゲート付近には何軒かお店があり、出発まで時間のある私たちはフラフラと見ていた。が、たいして時間を潰す事もできず、3人でベンチに座って搭乗時間を待つ事にした。少し離れた所には、私たちと向き合うようにして、どこかの国の親子が座っていた。ベンチに座ったお父さんは両足を揃え、ちょうどスネのあたりに2、3歳の男の子を座らせ、足の力だけで子供を上げ下げして遊んでいた。もちろん子供は大喜びだけれど、どう考えてもつらそうで「あのお父さん、すごくない?」と3人で笑っていた。少ししてユーコが「暑い。半袖になっていい?」と重ね着していた長袖Tシャツをもぞもぞ脱ぎ出した。すると、さっきのお父さんがじぃーっとユーコの動きを見つめている。それに気付いた私たちは、ちらちらお父さんを見て笑っているのに、お父さんは私たちの視線に気付いているのだか気付いていないのだか、とにかくユーコに釘付けになってしまった。そんなお父さんの熱い眼差しがおかしくておかしくてたまらなかった。
 出発時刻が迫ってきてるというのに飛行機がやって来る気配はなく、何のアナウンスも入らないうえ、スタッフさえもやって来ない。場所が違うのかな、と不安になり始めた頃、小さな飛行機と数人のスタッフがやってきた。そして18時40分、たいして滑走路を走ることもなく気持ちいい位あっという間に、MH1504便はランカウイ島へ向けて飛び立った。

かなりお気に入りのマレーシア航空の飛行機。
 それから30分後、薄暗い窓の外に沢山の島々やジャングル、そして、所々に明かりが見え始めた。あぁ、ついにやって来たんだ、ランカウイ島!どんどん沢山の木々ややしの木が迫ってくる。ランカウイ島が近づいて来る!この時の喜びと感動をどう表現したらいいのだろう?私は興奮のあまり落ち着かない。とにかく嬉しくて嬉しくてたまらない。飛行機が着陸しタラップを降りていくと、私の興奮は最高潮に達した。ちょうど夕焼けの時間で、何もない小さな空港がほんのりオレンジ色に染まっている。綺麗!とにかく嬉しくて写真を撮る。

夕焼け時のランカウイ島空港。
 それから中へ入って行き荷物を受取った後、到着口で迎えに来てくれているはずのガイドさんを見つける。ガイドさんはすぐに見つかった。簡単に挨拶を交わし、ペナン島で入国審査を受けてある事を確認された後、同じ車でホテルに向かうもう1人の人を待った。少しして1人のおじさんがやって来た。ガイドさんが私たちに聞いたように「ペナン島で入国審査はされてますよね?」と尋ねると、「は?分かんない。」と、ぶっきらぼうに答える。ちょっと困ったガイドさんが「パスポート見せてもらえますか?」と言うと、今度は「あれ?あれ?」とパスポートを探し出す。やっと出て来たと思ったら、やっぱり入国審査を済ませていなかった。そして、「分かんない。やって。」と、ぶっきらぼうに無責任な言葉を吐き捨てた。そしてガイドさんは、「すいません。手続きをしてきますので、ちょっと待っててください。」と申し訳なさそうにおじさんを連れて手続きをしに行ってしまった。
 私たちはかなりムっときていた。すでに時計の針は19時を回っていて、実質2日間しか島にいられない私たちは一刻も早くホテルに行きたかったし、何と言っても、あのおじさんの態度は腹立たしかった。少しも悪びれた様子もなく、だいたい謝るのはガイドさんじゃなくって、あんたでしょ!という感じだった。まさか自分たちと同じツアーの人が、あのユーコが言っていた「さっき迷った場所を真っ直ぐ来たら、入国審査を受けないでここに来れちゃうんじゃない?」を実行していたとは。周りにあるお店はみんな閉まっているし、ほとんど人もいなくなってしまい、私たち3人は、ぽつんと取り残されたような感じで2人が戻るのを待っていた。
 する事もないので3人で写真でも撮ろうとしていると、見知らぬ現地のおじさんが撮ってくれると言う。「ありがとうございま〜す。」なんて言っていると、2人が戻って来た。すると驚いた事に、この見知らぬ現地のおじさんと入国審査も1人でできないおじさんは「あぁ、久しぶり!」と、再会を喜び合っている。な、何だ?私たちはますますムっとする。「何?ここに来るの初めてじゃないんじゃん。なのにどうして入国審査もしてないわけぇ?」とつぶやき合う。それからやっと、私たちは送迎車に乗り込み、ホテル「ベルジャヤ ランカウイ ビーチ&スパ リゾート」へ向かった。
 ホテルに着くまでの間、ガイドのヒンさんから簡単な説明を受ける。今は「ラマダン」というイスラム教徒の断食の時期なので、昼間はいつもより開いている屋台が少ない事や、ランカウイ島は本当に安全な島なので、夜中に女の子だけで歩いてても大丈夫だという事や、水牛や牛がその辺にいっぱいいて、たまに道路の真ん中で寝てたりもするから、もし車に乗るなら牛には気をつけて、という事などなど・・・。そんな話しを聞いて笑っているうちに、あっという間にホテルへ到着。車は、ロビーへと続く長い坂を上がって行く。所々にスピードを出しすぎないようにと段差が付けてあり、その度に車はスピードを落とし、ゆっくりと坂を上がって行く。綺麗なイルミネーションが見え始め、ロビー前で車は停まった。思わず3人で歓声をあげる。「きれーい!」いかにも南国のリゾートといった感じの作りの、オープンなロビーが私たちを出迎えてくれた。もう、大興奮である。まず、チェックインとヒンさんからの説明を受けるため、おじさんと私たちはそれぞれ別の席に座る。そしてここでも、スタッフたちと再会を喜びあってるおじさんを見て「ここも初めてじゃないんじゃん。」と驚いたような呆れたような気持ちで見ていた。すると、ヒンさんがやって来て「先にあちらの方に説明をしてきますので、少し待っててください。」と言われ、私たちはトロピカルな味のウエルカムドリンクを飲みながらキョロキョロ周りを見渡し、リゾートホテルにやって来た感動に浸っていた。
 ヒンさんがやって来て、ホテルの説明を受ける。客室は全てコテージになっていて、ロビーから部屋、部屋からロビーへはシャトルカーで移動できるけれど、すぐには来ないから出掛ける30分位前には電話しておいた方がいいという事や、サルが入ってくるので、窓はもちろん開けっ放しにしてはダメだし鍵もかけておくようにという事など、一通りホテルの事について聞いた後、オプショナルツアーの話しになった。まず、ランカウイ島で有名なタイ料理レストラン「Barn Thai」へ行く事にし、それから「アイランドホッピングツアー」を希望したのだが、もしかしたらいっぱいかもしれないという事で、ヒンさんが空き状況を確認した位の時間に、ヒンさんへ電話を掛ける事になった。そして、もしもいっぱいだったら「パヤ島シュノーケリングツアー」に行く事にしておいた。これからご飯を食べに行く私たちに、ヒンさんは電話は何時でもいいと言いつつ、「夜中じゃないよね?緊急の時以外は夜中はやめてください。」と笑うので、私たちも笑う。
 コンシェルジュに部屋番号を伝え、だいたい同じ方面の人たち毎に分けられ、シャトルカーに乗り込む。運転手さんは当然の事ながら、どこに何番の部屋があるか熟知していて、シャトルカーに乗り込んだ人の部屋番号を確認した後、ムダのない回り方でそれぞれを部屋まで送り届けてくれる。道は狭く、シャトルカー1台が通れる位の道幅しかない。なので、たまに他のシャトルカーと鉢合わせると、一方が広めの所までバックして行ってすれ違いをしなければならず、とても大変そうだ。それにしても、本当に山の中にいるようである。どのコテージもとても雰囲気がいい。次々と人が降りて行き、私たちの部屋「5119」に着いた。運転手さんは素早く車を降り、私たち3人の荷物を部屋へ運び入れてくれる。するとベッドが2つしかないので、エキストラベッドを入れてくれるよう電話を掛けてもらった。エキストラベッドが入り、何枚か写真を撮った後、さすがに長旅で疲れた私たちはベッドでゴロゴロし始め、だんだん動くのが億劫になってきた。
 21時頃、「ご飯を食べに行こう。」と起き上がり、ロビーの下にあるレストランまで歩いて行った。20分位かかっただろうか?レストランは2つあり、私たちは明るい雰囲気の「DAYANG CAFE」に入って行った。ユーコと私はマレーシア風炒飯「ナシゴレン」を、アヤはご飯に鶏肉が添えてある「ナシアヤム」を頼んだ。レストランのスタッフはとても気さくで、次々に色々な人が話し掛けてくる。萩原健一に似ている(?)スタッフが(以後、ショーケンと呼ぶ。)「兄弟?」と声を掛けてきた。ふざけて「そうだよ。」と言い、誰が一番年上だと思うか聞くと、少し考えてからユーコを指差し「スモールシスター」、アヤを指差し「ミドルシスター」、そして私を指差し「ビッグシスター」と笑う。私は「えー。」と言ったが、私がビッグシスターなのは大当たり〜。

DAYANG CAFEにて。
 少ししてご飯が運ばれてきた。日本語が話せるスタッフで、なぜか「こっちがマレーシア風ナシゴレン。こっちが中華風ナシゴレン。」と2種類のナシゴレンを持っていた。「両方ともマレーシア風でいいのにね。」とユーコと言いつつ、どっちでも良かった私は中華風をもらった。アヤにナシアヤムを一口もらって食べると、これもまたおいしかった。おいしいご飯と優雅なリゾートホテルに大満足の私だったが、眠さと疲れのせいで「酔ってないのに、酔ってるみたいにふわふわする〜。」とぼ〜っとしていた。

中華風ナシゴレン。
 食べ終わった頃、料理を運んできてくれた日本語が話せるスタッフがお皿を下げに来た。「お腹いっぱい?」と聞かれ「うん、いっぱい。」と満足気に言うと笑いながら、「クニャン?」と笑う。アヤがすかさず「クニャン。」と笑う。「何々?」と聞くと、「いっぱい、っていう意味だよ。」と教えてくれた。妙にかわいい響きのその言葉が気に入った私は、さっそくその言葉を使いたくなり、「クニャン」と笑った。
 少しして、さっきの日本語が話せるスタッフがやって来て、何か言っている。ぼ〜っとしている私はアヤの「ほんと?」という嬉しそうな声を聞いてからようやく「何々?」と尋ねた。本当にぼ〜っとしていた私は、このときのやりとりをあまり覚えていないのだが、とにかく、22時に仕事が終わるこの人と一緒に、ご飯を食べに行くのだか、遊びに行く事になった。初め「え?大丈夫なのかな??」と思ったけれど、マレーシア慣れしている、しかも、私から見たらとても慎重派のアヤが何の心配もしていないようだったので、「大丈夫なんだなぁ。」と1人で勝手に心配して、そして安心した。それから22時頃、駐車場の辺りで会う約束をして、そのスタッフ、レザールは仕事に戻って行った。
 22時頃、言われた辺りに行くと1台の車が停まっていて、レザールともう1人男の人がいた。ヒンさんに確認の電話をしなければいけなかった私たちは事情を説明して、1度部屋に戻り電話をしてきてもいいかと尋ねた。「じゃぁ、ここで待ってる。」と言われ、ちょうどロビー前にシャトルカーが停まっていなかったため、私たちはのんびり歩いて部屋に戻って行った。部屋に着きヒンさんに電話をすると、やはり「アイランドホッピングツアー」はいっぱいだったと言われ、あさって12月10日は、第2候補の「パヤ島シュノーケリングツアー」と、タイ料理レストラン「Barn Thai」へ行く事になった。
 一旦部屋に戻ってしまった私たちは、また外へ出て行くのが面倒臭くなってしまった。が、まさかすっぽかすわけにはいかないので、またすぐに同じ道を戻って行った。しかし、徒歩での往復だったため結構時間がかかり、時計の針はもうすぐ23時を指そうとしている。「1時間経っちゃったねぇ。まだ、待ってるかなぁ。」なんて言いながら歩いて行くと、2人はちゃんと待っていてくれた。「ごめんね〜。」と言う私たちをイヤな顔1つせず迎えてくれる。
 車に乗り、レザールがもう1人の人を紹介してくれる。マンさん。DAYANG CAFEでコックさんをしているそうで、私たちが食べたナシゴレンはマンさんが作ってくれたそうだ。マンさんは英語は話せるが、日本語は話せないとのこと。それから2人の年齢を聞いて驚いた。私たちより絶対年上だと思っていたのに、23歳だと言う。びっくり。そしてそれから、マンさんは車を発進させた。夜のランカウイ島は本当に暗い。何もないのだ。走っている車もほとんどない。気持ちいい位のんびりしている夜道を、マンさんはビュンビュン飛ばして行く。スピードメーターが60km以上を示す事はないが、私たちは「これ、おかしいよね。絶対60km以上出てるよね。」と笑っていた。
 まず、ご飯を食べていない2人がご飯を食べるため、チェナンビーチの方にあるちょっとしたレストラン?屋台?へ行く。そこで2人はマレーシア風焼きそば「ミーゴレン」を頼んだ。私たちにも「何か食べる?」と聞いてくれるが、ご飯を食べたばかりなので「ううん。」と言うと、飲み物を薦めてくれるのでアイスティーを頼んだ。ユーコとアヤは温かい飲み物を頼んでいて、後から「氷ってよくなかったかなぁ。」と心配になったが、結局、ごくごく飲んでしまった。レザールはよく喋るし、とても気を使ってくれる。ミーゴレンも「少し食べてみる?」と言って、お皿を回してくれる。シャイな感じで無口めのマンさんは、ラマダン中で昼間は食事を一切取っていないはずなのにほとんど食べず、側でニャーニャー鳴いていた猫にあげてしまった。アヤが、「猫に辛いのあげて大丈夫なのかな?」と心配していたが、猫は待っていましたとばかりにすごい勢いで食べていた。
 それから再び車に乗り、次の場所へと移動する。私はどこに行くのか分からず「どこ行くの?」と言うと「綺麗なビーチだって。」とアヤが教えてくれる。途中、ちょっとしたお店の所でマンさんが車を停めた。ちょっとタバコを買ってくると言う。こんな時間にお店が開いてる事に驚きつつ、南国っぽい布で作られた巻きスカートやシャツが沢山あって、興味をそそられた私たちは目を輝かせながら「ちょっと見てきてもいい?」と車を降りる。ユーコが巻きスカートを買おうと選んでいるとマンさんが隣にやってきて「こっちがいい。」と薦めている。そしてユーコは「じゃぁ、マンさんお薦めのこれを買おうっと。」と言い、2枚巻きスカートを買っていた。とても安くてびっくりする。
 それから再び車に乗り、綺麗だと言うビーチへ向かった。マンさんが車を停めた所は周りに木が生い茂る真っ暗な広場だった。海なんて見当たらない・・・。暗くて周りがよく見えなかった私はそこが工事現場に見え、「へ?どこここ?ヤバイ??」と一瞬あせったが、車の外に出てちょっと行くと、綺麗なビーチが広がっていた。「うわー、きれー。」と3人で駆け出す。一瞬でもレザールとマンさんを疑ってしまった事を恥ずかしく、そして申し訳なく思う。周りには何もないが月明かりで辺りはとても明るく、ずっと広がる砂浜が真っ白だという事がよく分かる。ざざーん、と寄せては返す波の音がとても心地良い。「写真、写真。」とカメラを出し、まず3人で撮ってもらう。それからマンさんを真ん中にしてレザールに撮ってもらう。そしてまた「きれー、きれー。」と遊び出してしまうとレザールが来て「ねぇ、写真撮ろうよ。」と言う。「あ、ごめん。」と心の中で思い、レザールと2人で写真を撮る。

マンさんを取り囲んでの記念撮影。
 マンさんは日本語が分からないので、必然的に、私はレザールとばかり話す。私が「月、きれー。」と言うと「日本でも月、見える?」と聞かれ、思わず「見えるよー。」と驚いた声をあげてしまった。そんな質問をされるなんて思ってもみなかった。そしてそのレザールの言葉で、「あぁ、海外に来てるんだなぁ。」と、自分がマレーシアの地に立っている事を実感した。そして、ユーコとアヤと「星がいっぱいだねー。」と空を見上げると、大きな流れ星が1つ、ゆっくりと流れて行った。思わず3人で「あーーーー!」と叫ぶと、レザールが「何ぃ??」とびっくりしていた。生まれて2度目の流れ星。ランカウイ島で見れるなんて!私は島全体に漂っているのんびりした時間に満たされて、本当にのびのびした気分になっていた。あぁ、やっぱり南国っていいなぁ。

レザールとのツーショット。
 そろそろ帰りたいな、と思い始めた頃、「そろそろ帰る?」とレザールが言う。私はそんなレザールをちょっと「紳士だな。」と思い、「女の子によく気を回す人なんだろうなぁ。」と思った。ホテルに着き、「明日は23時頃仕事が終わるから、ホテルのビーチで一緒にお酒を飲もう。」と誘われた。でも、あさってはパヤ島へ行くので朝が早い。3人で「どうする?」と顔を見合わせ、はっきり行くとは言わず、「行けそうだったら行くね。」と言い、レザールとマンさんと別れて部屋に戻って行った。外では、何事かと思う位の大きな声で虫やヤモリが鳴いている。その音を、なぜだか懐かしいとさえ思いながら、真夏の夜に感じる開放感に満たされ、疲労感と満足感の中、あっという間に眠りに落ちて行った。



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