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マレーシア放浪旅日記

4月17日(水)〜4月23日(火)編

INDEX


4月17日(水) 初めてのKL。初めての安宿。 〔JAPAN→KL〕

 深夜0時30分。なんとか荷造りを終え、ベッドに入る。でも、何だか寝付けない。ウトウトしつつ、3時30分起床。5時、家を出る。外はまだ暗く、冷たく静かな空気が気持ちいい。5時45分、成田空港行きのリムジンバスは出発した。前から後ろに流れていく景色を一番後ろの席から眺め、「あぁ、これからマレーシアでの1ヶ月が始まる!」とドキドキし始める。が、何だかバスに酔い始め、早々に寝る。う〜、気持ち悪い・・・。普段、乗り物酔いする事ないのにな。何だかイヤな予感。目が覚めるとすぐ、成田空港に到着した。出発から1時間半ちょっと。早いなぁ。この楽さを知っちゃうとバスはやめられない。

 アヤとは8時に待ち合わせをしている。まだ時間があるので、保険に加入することに。「疾病死亡」と「救援者費用」は付けなかった。ちょっと不安に思うけど、だって、高いんだもん。まぁ、その時はその時だ。

 8時、アヤと合流し、まだ早い気もしたがチェックインすることに。並んでる人もいず、すぐ済むと思っていたのに空港のコンピューターがダウン。結局、30分以上も待たされる事になってしまった。いつのまにか私たちの後ろには列ができている。早めに並んでおいて良かった。


 10時40分。予定より10分遅れてMH89便は離陸した。毎度の事ながら、飛行機の加速と轟音に興奮する。タイヤが滑走路から離れた瞬間、「浮いたっ!」と、アヤと顔を見合わせる。そして、どんどん雲の中へ吸い込まれていく景色に夢中になっていた。あいにく気流が悪く、飛行機はかなり揺れる。そんな中、マレーシアの出入国カードが配られた。さっさと仕上げてしまおうと、揺れと戦いながら記入しているうち、今度は飛行機に酔ってしまった。アヤと2人して、「あ〜、もうダメだ〜。気持ち悪い〜・・・。」とぐったり。おかげで、楽しみにしていた機内食もなかなか喉を通らない。お腹はペコペコだったのに。それからクアラルンプール(KL)に着くまでの約7時間、映画を見たり、ゲームをしたり、昼寝をしたりして過ごし、軽食が出る頃にはすっかり気分も良くなっていた。

 予定より20分遅れの現地時刻16時50分(日本との時差1時間。)、クアラルンプール新国際空港(KLIA)に到着。入国審査を受けるため並ぼうとしていると、某有名会社の中国人団体客がやってきた。あまりの大人数だからか、その団体専用の窓口が開かれているにも関わらず、色々な所に散って行く。それだけならまだしも、どんどん仲間の所に割り込んでいくので、私たちはどんどん後ろに追いやられて行く。列も作らず写真を撮ったりして大騒ぎ。カチンときた私たちは、「どうせ列も作ってないし、横入りされたのは私たちだ。」と、出来る限り前に詰めていくが、結局、そこで30分以上も足止めされてしまった。

 やっとイミグレーションを抜け荷物を取りに行くと、私たちのパンパンのカバンは、すでに床にちょこんと置かれていた。それを「よいしょっ。」と肩に背負い、税関を抜けて行く。新しく開通した高架列車を利用すると、KLIAからKL市内まで28分で行けるそうだ。「それで行こう。」とカウンターで値段を聞くと、1人35RMだと言う。アヤ情報によると、前にKLに来たとき、タクシーは60RMくらいだったそうだ。「高いっ!だったらタクシーで行った方が楽だよね。」という事で、そのままタクシーチケットを買いに行く。値段を聞くと95RMと言う。そこでアヤが、前に来た時は60RMくらいだったと言うと、タクシー代は67RMになった。何だかよく分からないけど納得し、チケットを購入。それから5万円分両替し、帰りのエアチケットのリコンファームと、コタキナバル(KK)行きのエアチケットの予約をしに行く。ここでも思っていた以上に時間がかかり、どんどん日が傾いていく。
 
 タクシーに乗り込み、今夜の宿泊先『Full Moon Budget Inn』に向かって走り出した頃、辺りは夕焼けに赤く染まり出していた。キンキンに冷えた車内で、初めこそ「涼しい〜。」と喜んで周りの景色を楽しんでいたけれど、だんだんあまりの寒さに体が痛くなってきて、「寒い・・・。」と2人で凍え出す始末。本当にそろそろツライ・・・と思い始めた頃、ライトアップされたKLタワーやペトロナスツインタワーが見えてきた。「すごーい。きれいー。」と感動しているうち、宿に到着。が、運転手さん、車をどこに停めていいか迷っているうちにどんどん通り過ぎてしまった。「こんな所で降ろされたらやだよね。遠いよね。」と不安そうにしていると、「Two rounds. Drive.」と笑うので笑ってしまった。
 
 度こそ、宿に到着。階段を上がって行き、部屋を見せてもらう。何だかものすごく薄暗いけど、「綺麗だし、いいね。」と決める。薄暗い部屋にベッドが2つと、ファンが2つあるのみ。毛布などはない。トイレとシャワーは共同。1泊1部屋30RM。初めての安宿に、「おぉ〜。」と思う。ちょっとドキドキ・・・。だけど、宿の人もそこに泊まっている人たちも、みんなフレンドリー。みんなニコっと笑ってくれたり、「Hi.」って挨拶してくれる。何かいいな、こういうの。
    
『Full Moon Budget Inn』観と部屋の様子。フラッシュをたいたから明るく見えるが、実際はもっと暗い。
 明日はティオマン島へ行く。そのため、ティオマン島へ行くボートが出ているメルシンまでのバスチケットを買わなければならない。さっそプドゥラヤバスステーションへ買いに行く事に。部屋を出ようとして外からかける鍵がないことに気付く。アヤが宿のおじさんに鍵の話しをすると、「私がここにいるから大丈夫。」だって。「ホント???」と思うが、まぁ、大丈夫だろうという事で外へ出る。出てすぐに、「日本人ですか?」と声をかけられる。彼の名はジョナサン、中国人。日本語の勉強をしているそうで、一生懸命、日本語で話しをしようとしているのが分かる。そんなジョナサンを、初めは「すごいなー。」と思っていたけど、ティオマン島から戻ったらKL市内を案内するってしつこい。困り果て、「バスチケット買いに行かなくちゃ。」と切り出してみる。すると、握手を求めてきたので手を差し出すと、握手してから手の甲にチュー。な、な、なに・・・。

 ジョナサンから逃れた後、アヤに連れられバスステーションへ向かう。バスステーションは大勢の人で賑わっていて活気があった。お客を逃すものかと大声で行き先を叫ぶ声が飛び交う中、メルシン行きのバスチケットを売っているブースを探す。席が取れない事を心配していたが、無事チケットを手に入れる事ができ一安心。それからお腹がペコペコの私たちは、チャイナタウンへ夕飯を食べに行った。色々と食べたい物もあったが疲れ切っていたので適当なお店に入り、炒飯を食べる。お店の奥の方ではどこの国の人だろう?かなり盛り上がっていて、しまいには踊り出す。決して若い人たちではないんだけど。でも、何だかいいな。どこもかしこも活気があって、「あぁ、東南アジアの夜だなぁ。」なんて、勝手に満足。

 宿に戻り、順番にシャワーを浴びる。トイレの中に固定されたシャワーがあるのみ。蛇口をひねり、お湯が出て来るのを待つ。が、お湯など出てこない。そこで初めて気付いた私。「そうか。お湯なんて出ないんだ。」初めての水シャワー。ちょっと冷たい。それから薄暗い部屋に戻り、懐中電灯でノートを照らしながら日記を書き、そして、いつの間にか夢の中。

 マレーシアでの1ヶ月が始まった!

4月18日(木) ティオマン島、ABCへ。 〔KL→TIOMAN〕
 朝5時、ふっと目が覚める。もう出掛けて行く人も多いようで、部屋の外から色々な音が聞こえてくる。「みんな早いなぁ。」と思いつつまた眠り、7時起床。チャイナタウンへお粥を食べに行く。汗だくにはなるものの、おいしい。部屋に戻って少しのんびりする。妙にこの薄暗い何もない部屋に愛着が湧いてきて、「住めば都だね〜。」と思う。10時、チェックアウトしバスステーションへ向かう。自分が持ってきた荷物だけど、捨てて行きたくなるほど重たい・・・。

 バスステーションに着いてから、順番に荷物番をしてお昼を買いに行く。おいしそうなパンが色々あって迷ってしまう。全部食べてみたくてさんざん迷うが、結局、無難にピーナッツパンとココナッツパンを買う。それから7番ホームに並んでいると、ある白人さんに「Japanese?」と声をかけられた。この人もティオマン島へ行き、ダイビングをするそうだ。バスのトランクが開くと荷物を詰めてくれ、「Thank you.」とバスに乗り込み、11時出発。バスの中は寒い位に冷房が効いているし、座席もリクライニングシートだ。快適、快適。

 走り出して時間が経つにつれ、車内はどんどん暑くなってきた。そして、周りの景色はどこまでも続くパームヤシ畑。暑さと単調な景色のためか、どんどん眠くなってくる。「せっかくなんだから景色を見なくちゃもったいない。」という思い。 VS 「今寝たら気持ちいいだろうなぁ。」という思い。頑張って目を開けようとしてみるが、やっぱり睡魔には勝てない。寝ては起き、起きては寝て、を繰り返す。そして、出発から3時間後の14時、初めてのトイレ休憩。
(写真:休憩でバスから降りた時の眺め。)外は暑いが体を動かすのは気持ちいい。その後トイレ休憩はなく、出発から6時間後の17時、メルシンに到着。前の方に座っていたさっきの白人さんが、「ここで降りるんだよ。」と目で合図してくれ、降りるとまた、トランクから荷物を出してくれた。そして、バスは次の目的地へ向かって走り去った。

 たちはその白人さんに連れられるまま、ある旅行会社へ入って行った。まず、ティオマン島までの往復のボートチケットを購入。でも、どこのJettyで降りよう?ティオマン島にはいくつかの村があり、村毎にJettyがある。ティオマン島でダイビングのライセンスを取るつもりの私たちだったが、はっきりとどの村に行けばいいのか分かっていなかった。あるのは、「ティオマン島で一番大きなJettyがある村に、日本語で講習を受けれる所がある。」という、以前そこでライセンスを取ったアヤの友達からの情報のみ。

 ガイドブックで見る限り『Kampong Tekek』が一番大きそうだけど、日本語で講習が受けれるダイビングショップがあるのは『Kampong Air Batang』と書いてある。なので、アヤの友達が言っていた所を探してみてよく分からなかったらそこへ行こうと思っていた。ところが、旅行会社のLeeさんが言うには、日本人インストラクターがいるのは『Kampong Air Batang』、通称『ABC』だけだと言う。そこには「アキさん」という日本人インストラクターがいるそうだ。一緒に来た白人さんは、これから自分が行く『Kampong Salang』が一番キレイだと一押しのようだが、そこには日本人インストラクターはいない。何が何だかよく分からないので、とにかく『ABC』へ行く事に決める。


 Leeさんに、宿は予約してあるのかと聞かれる。まだ宿どころか、何日間ティオマン島に滞在するかも決めていない。Leeさんに、これからティオマン島に行ったら真っ暗になるし、宿が取れないと困るからここで予約していった方がいいと言われ、やっぱり何が何だかよく分からないのでそうする事にする。『TIOMAN HOUSE』のシャレーの写真を見せられ薦められる。エアコン or ファン、ツイン or ダブル。ファン付きダブルが一番安いのでそれに決め、宿泊日数を決める。ダイビングのライセンスをオープンウォーターまで取るか、アドバンスまで取るかで必要日数が変わってくる。最初は、アドバンスまで取るつもりでいたのだが、ジャングルトレッキングもしたいし、費用の事もあるし、ゆっくりしたいし、などなど色々考えて、「とりあえずオープンウォーターだけでいいね。様子を見よう。」という事に。28日にはKKへ移動する。その前に少しKL観光もしたい。オープンウォーターだけなら3日で取れると言う。もしアドバンスまで取るにしても2日で取れるとの事。それと、7日以上の宿泊で10%OFFになると言う。これらを考えた結果、『TIOMAN HOUSE』に8日間宿泊する事にした。1泊1部屋25RM×8日間の10%OFF。

 店内に貼られていた「アキさん」のチラシを読んだアヤから、「アキさんって男の人なんだね。女の人かと思った。」と教えられ、「そうなんだ。私も女の人かと思ってた。」「もと板前なんだって。特技はHなマシンガントークで、苦手だからと言って、石などぶつけないようにしましょう、って書いてあった。」「へ〜え。そうなんだぁ。」アキさんってどんな人なんだろう。でも、「アキさん」がどんな人かという事よりも何よりも、一瞬、「本当に私、大丈夫かなぁ。」という不安が頭をかすめる。ほんの一瞬だけど。なぜなら私は、基本的に水が苦手。足が届かない所は怖い。そもそも、浮く物に頼らず海に入った事がない。でも、みんな、泳ぎは関係ないって言うし、簡単にすぐ取れるって言うし。それに、不安よりも海の中への期待や憧れの方が大きいし。まぁ、きっと、大丈夫だよね。

 最後にLeeさんから説明を受け、3万円分の両替をし、さっきの白人さんともう1人のイギリス人と4人でワゴン車に乗り込み、Jettyへと向かった。私たちを連れてきてくれた白人さんは日本に住んでいて、千葉で英語を教えているんだとか。あっという間に船着場に着き、本日最終のボートでティオマン島へ向かった。時刻は17時40分。まだまだ明るい。
(写真:メルシンのJetty)

 初め、船はかなり揺れ、ずっとこのままだと酔うかもしれないと思ったけど、しばらく行くと落ち着いた。が、また異常に寒い。これから約2時間、寒さとの戦いだ・・・。辺りがだいぶ暗くなり始めた19時頃、大きな島が目の前に見え始めた。ティオマン島は想像していたより全然大きい。船は各村のJettyに順番に停まっていく。私たちは『ABC』で降り損ねないよう、今か今かと気にしていたのだが、なかなか『ABC』のJettyには着かない。19時半頃、ようやく『ABC』に到着。さっきの白人さんが、「ここだよ。」という風に合図してくれ、「Thank you. Bye-bye.」と別れた。

 もう真っ暗だ。Jettyには他の船も停泊していたため、船伝いにJettyへ行かなければならなかった。導かれるまま船を渡って行くと、目の前に1m位の高さのJettyの壁が立ちはだかった。「で、どうするの?」と船の人の顔を見ると、ここからよじ登れ、なんて言う。「えー!ムリだよー!」とびっくりしていると、おもむろに私の大きな重いカバンを上に上げ、「さぁ、行けっ。」と手を動かしている。船とJettyの間には隙間もあるし、壁の上には柵もある。落ちれば暗〜い海の中。思わず、「うそ〜。」と笑ってしまう。覚悟を決め、「よっ。」と腕の力でよじ登る。先に上がっていた人たちが手を貸してくれる。無事、2人揃って『ABC』に到着。おぉ、いきなりすごいぞ、ティオマン島。

 重い荷物を肩にかけ、Jettyから左手に入り、真っ暗な小道を『TIOMAN HOUSE』目指して歩いて行く。すると、1つの小さな明かりがふわふわと浮遊している。「ホタルだー!」とアヤと興奮。ホタルなんて見たの、久しぶりだ〜。ここには沢山いるのかな?

 「まだかな?」と思い始めた頃、『TIOMAN HOUSE』に到着。が、レセプションらしき小屋は閉まっている。「あれ?」と思って周りを見回すと、ちょっと先に『TIOMAN RESTAURANT』があるのでそこへ行ってみると、シャレーに案内された。案内してくれた人は、「Japanese.」と、私たちのシャレーの右隣と前を指して戻って行った。日本人が泊まってるんだ。それにしても、とても静かで真っ暗だ。部屋には大きなベッドのみがどーんとあり、奥にトイレと水シャワーがある。さっそく洗濯ロープを張り、荷物を出し、夕飯を食べに『TIOMAN RESTAURANT』へ出掛けて行った。
    
『TIOMAN HOUSE』外観と部屋のようす。すぐ目の前は海!
 シャレーの隣りに、ガイドブックに載っていた『B&J DIVING CENTRE』があった。「あそこに行けばいいんだよね?」「朝申し込んで、すぐに始められるのかな?」などと話しながら料理を待つ。海の向こうの方では、カミナリがビカビカ光っている。コウモリは飛び交っているし、ヤモリもチョロチョロ歩いている。周りにいる人が白人ばかりなのには驚いたけど、暑いけど涼しい、まさに南国の夜に大満足。南の島に来たんだな〜。それにしても、料理が出てくるのが遅い。お腹空いたー。

 おあずけの後のご飯はいっそうおいしい。フレッシュオレンジジュースとフライドヌードル with ベジタブルをたいらげ、『TIOMAN HOUSE』の前の海辺で星を見る。月が明るいので小さな星は見えないけど、それでもやっぱり綺麗。どこかに南十字星は見えるのかな。本当に静かな夜。気持ちいいなぁ。残念なのは砂浜ではない事。石がゴロゴロ転がっている。ちょうど引き潮時のようで、いっそう石が目立っている。だけど、海の透明度はすごい。夜でも月明かりの下、水が透き通っているのがよく分かる。明日の朝、海を見るのが楽しみだ。

 屋に戻りベッドに上がろうとした時、私が足を置いた所から、マットが下の板とともにガタンと落ちた。何が起きたのか一瞬分からず、「え?」と固まる。このベッドは大きな木枠の中にすのこのような物がひっかけてあり、その上にマットが載っているのだが、ひっかかる部分が少ないため、端の方に重みをかけるとズレて落ちてしまうようだ。なるべく真ん中から上がるように気を付けてはいたのだが、この夜、ついつい忘れて何度も「ガタンっ。」という音を響かせていた。

4月19日(金) ダイビング、奮闘の予感・・・。 〔TIOMAN〕

 夜中3時半。あまりの痒さに目を覚ます。ティオマン島は本当に蚊が多く、何ヶ所も食われていた。半分ねぼけながらも痒み止めを塗り、カバンからパーカーを取り出す。両腕の部分に足を入れてガードし、毛布代わりにかけていたバスタオルで上半身を覆い、再び眠りについた。7時起床。やっぱりアヤも蚊に食われ、痒くて夜中に起きたという。しかも私以上に食われている。恐るべし、ティオマンモスキート。

 朝食を食べに『TIOMAN RESTAURANT』へ行く。「節約、節約。」と、2RMのパンケーキ(レモン)を食べる。薄〜い焼もちのようなパンケーキにレモン汁をかけて食べるのだけど、意外とおいしい。海を見ながらの朝食、ワンダフルー。それから誰もいないビーチをのんびり散歩する。やっぱり石が多いし、まだ潮が引いたままではあるけど、海は綺麗だし砂浜もある。本当に気持ちがいい。いつの間にか2人して貝拾いに夢中になっていた。それからアヤの提案で、砂浜にサンゴを並べて2人の名前を書く事にした。童心に帰り(いつも童心?)はしゃぐ私たち。

 もう少しで完成という時、「ダイビングのライセンスを取りたい方ですかー。」と声がするので見ると、2人の男の人が立っていた。「はい。・・・アキさんですか?」と言いながら寄って行くと、「はい、そうです。すいません、お待たせしちゃって。実は昨日、メルシンに猫のエサを買いに行ってたんですよ。そしたら旅行会社のLeeさんに会って、『何してるの?ダイビングのライセンスを取りたいって子たちが島に行ったわよ。』って言われて、慌てて戻ってきたんですよ。」と、アキさん。

「ライセンスは何を?」
「オープンウォーターを・・・。」
「オープンウーォーターなら4日で取れます。ここには何日間くらい?」
「8日間です。」
「あぁ、なら全然問題ないですね。いつからやりたいですか?」
「いつでもいいです。いつからなら大丈夫ですか?」
「できれば、明日、途中までやってるお客さんが来るので、明日一緒にやれるように今から始めたいんですけど。」
「はい。大丈夫です。お願いします。」
「じゃぁ、まず学科をやりますので、えーと、今9時半だから、じゃ、45分からあそこのTIOMAN RESTAURANTで。」
「はい。」
と、心の準備もないままに、あっという間にダイビングの講習が始まる事になった。


 とりあえず、完成間近だった『サンゴ de 名前』(なんだ、それ。)を完成させ、写真を撮って急いで部屋に戻って行った。(写真:『サンゴ de 名前』完成!)昨日、シャレーに案内してくれた人が言っていた「Japanese.」の部屋は、前がアキさんの家で、右隣りはアキさんと一緒にいたロマンスさんの部屋だった。みんなご近所だ。

 こうして私の予想を
はるかに超えた、涙なくしては語れない、ダイビングライセンス取得奮物語が始まった。

【詳細は『ダイビングライセンス取得奮闘記 in ティオマン島』へ。】
 午前中は学科のみ。アキさんはもと寿司職人で、チラシに書いてあった通り、かなりの下ネタ好き。うん、多分、私がこの26年間に出会ってきた人の中で、一番明るい下ネタ好きな人でしょう。(笑)そして、アキさんと私は日本での住みかがわりとご近所だった事が判明。地元ネタでも盛り上がり、面白おかしく午前中が過ぎて行った。お昼はロマンスさんも合流し、『TIOMAN RESTAURANT』でフライドビーフン with エッグを食べた。ビーフンもおいしい。

 ロマンスさんは、見た目はどう見ても日本人なんだけど、髪は茶色い。アキさんの説明によると、お父さんがカナダ人で、お母さんが日本人の日系カナダ人なんだそう。各国を旅して歩いている途中、ふらっとティオマン島に寄ってダイビングのライセンスを取る事になり、そのままダイブマスターのライセンスまで取っている最中との事。3月からここにいるそうだ。私は「ロマンス」という名前を聞いた時から、「これは本当の名前なのかな・・・。」という疑問で頭がいっぱいだった。本当に子供の頃からそう呼ばれてたのかな?日本名もあって、いつもはそっちで呼ばれてるんじゃないのかな?そう思うと何だか恥ずかしくって、「ロマンスさん」って呼べない。

 午後、プールに移動し、本格的に私の奮闘が始まった。10分間の立ち泳ぎに始まり、水中での呼吸にパニック。誰よ、泳げなくても関係ない、なんて言った人。10分間の立ち泳ぎに、200m水泳。泳げなきゃクリアできないでしょう?しかも、「泳げない。 泳ぎが苦手。」=「水が苦手。怖い。」=「水中でパニくる。」じゃない?今日のこの半日の間、私の中で、「やめたい。やめたくない。やめたい。やめたくない。」の葛藤が何回あった事か。・・・あぁ、奮闘の予感。でも、そうは言っても講習は楽しい。「楽しい」と思える気持ちがあるなら大丈夫。頑張ろう。

 講習中、言われた事を忘れて実行していないと、「はい、ビール、1ケース。」などと言うアキさん、何かを間違えた元体操部のアヤに、「罰として側転やって。」と言う。アヤは、「え?ホントですか?じゃぁ、ウェット着たままでもいいですか?じゃぁ、芝生の所で。」って、本当にヤル気になっている。え?本当にやるの??言い出したアキさんも、「ホントに大丈夫?ケガしないでね。」とちょっと心配気味?でも、アヤときたらひょうひょうと綺麗な側転をやってのけた。おぉ〜、さすが元体操部。アキさんと拍手喝采。ブラボー!

 17時30分頃、本日の講習終了。何とか水にも慣れてきたような・・・。器材をバラして洗った後、部屋に戻って順番にシャワーを浴びたり洗濯をする。この時、悲劇が訪れた。また、うっかり忘れてベッドの端に左足を置いて上がろうとしてしまった私。マットが「ガタンっ」と大きな音をたて落ちて行き、私の全体重がかかっていた左足は、ズルっと、弁慶の泣き所を木枠に打ち付けながら落ちて行った。痛ーーーい!見れば約10cmのスリキズができ、みるみる青くなっていく。あぁ、もう、プールで水は飲むわ、部屋に戻ってくれば足は打つわ・・・。これ、絶対に跡が残るよ・・・。

 19時前、アキさんちの前にあるテーブルで、アキさん、ロマンスさん、アヤ、私の4人でビールを飲む。夕日は綺麗だし、ビールはおいしいし。んー、幸せ。ロマンスさんに、南十字星を教えてもらった。念願の南十字星。嬉しい。でも、ニセモノ十字星の方が明るいかも。でも、どっちも綺麗だ。そして今日も、海の向こうの方ではカミナリがビカビカ光っている。ビールが空いてから、『ABC RESTAURANT』へ夕飯を食べに行き、アヤと、チキンカレーとフルーツサラダを半分個にする。そしてまた、アキさんと地元ネタトークで盛り上がる。

 ロマンスさんとアヤと3人で、Jettyまでビーチを歩いて散歩する。帰り道、アヤと、ロマンスさんに質問する。「ロマンスさんは英語もフランス語もしゃべれるんですか?」「しゃべれないよ。」「でも、お父さんはフランス語話すんですよね?」「話さないよ。」「あれ?カナダのフランス語圏の人なんですよね?」「あ〜。」「じゃぁ、英語なんですか?」「ううん。英語を話してるのも聞いた事ない。」「???そうなんですか???」
ますます謎は増すばかり・・・。部屋に戻ってからも、「ロマンスさんは本当に『ロマンス』っていう名前なのかな?日本名はないのかな?本当に普段、ロマンスって呼ばれてるのかな?何かちょっと呼ぶのが恥ずかしいよね。最初、何か呼べなかったよ。」「髪の毛の色は地毛かな?どう見ても日本人だけど、髪を見ると、ハーフなのかな、って思うよね。」などと、2人でロマンスさんの謎にハマっていた。

 明日はいよいよ海に潜る。ドキドキドキ・・・。


4月20日(土) 海と梅干に泣いた日。ビビるマン登場。 〔TIOMAN〕
 夜中3時半。またもやあまりの痒さに目を覚ます。昨日のガード方法じゃ甘かったようだ。またまた半分ねぼけながら痒み止めを塗り、今日は靴下を履いて足を、パーカーを前から着て腕を、バスタオルを頭からかぶって顔と首をガードして再就寝。アヤなんてまぶたを食われ、大変な事になっていた。本当に恐るべしティオマンモスキート。

 7時起床。インドパンのロティにカレーを付けて食べるロティチャナイが食べたくて『RINDA HOUSE』に行くがやっていないので、確実にやってて料理が出てくるのが早いという『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』へ行く。「JAFFLEって何だろう?」と気になったので、オムレットJAFFLEを注文。JAFFLEはいわゆるホットサンドで、とてもおいしい。かなりお気に入り。
 朝食後、アヤとのんびりJettyまで行ってみる事にした。Jettyから海を覗くと、透き通った水の中に沢山の魚とガンガゼ(ウニの仲間)が見える。2人で魚の群れを見ては喜んで、ガンガゼを見ては気持ち悪がる。ガンガゼの青?オレンジ?の点の部分が気持ち悪い。あそこでこちらの様子をうかがっていて、今にも攻撃を仕掛けてきそうなんだもん。そのうち飛んできそう。

 それから、今夜こそ快眠を得るため、蚊取線香を買いに行く事にした。シャレーを通り過ぎ、『TIOMAN RESTAURANT』の所まで来たとき、今日、一緒に講習を受ける日本人学校の先生と食事中のアキさんが見えた。「おはようございます。」「おはよう。10時から始めるよー。」「はーい。」と返事をし、蚊取線香目指して歩いて行った。目指せ!今日こそ快眠!!

 10時、本日の講習スタート。器材セッティング後、ビーチから海にエントリー。そしてシュノーケリングでブイまで泳いで行き、そこからヒモをつかみながら潜降。そして、心配していた通り、大・大・大パニックを起こした私。パニくり過ぎていて、その時の記憶はあまりございません・・・。水底に、先生とアヤを残して水面に浮上してしまった時の自己嫌悪感と言ったらない・・・。しかも浮上後、暴れもがいてアキさんを蹴って苦しませ・・・。あぁ、何てこと。再潜降後、だいぶ落ち着いてきて「あ、綺麗・・・。」なんて思えたりもしたものの、まだまだ海の中にいる事が不安で仕方ない。そしてみんなで浮上後、「ビビるマンに変身したな〜。」と笑われた。

【詳細は『ダイビングライセンス取得奮闘記 in ティオマン島』へ。】
 
 お昼は、アキさんがうどんを作ってくれた。アキさんがうどんを茹でてくれている間、先生とアヤと私で、ノリを刻んだりつゆの原液を薄めたりして準備する。海水を飲んだ後のうどん、最高。(笑)他にも、キムチや梅干も出してくれ、「食べて。」と薦めてくれる。が、梅干が嫌いな私は素直に、「すいません。私、梅干ダメなんです。」と言ってしまった。すると、「は?嫌い?食え。ウチは好き嫌いダメなんだよ。ほら。早く。」と梅干の入ったお皿を突き出され、観念・・・。せめてカリカリの小梅で勘弁してもらい、生まれて初めて梅干をひとかじり。「・・・。あ?平気かも?・・・う、しょっぱい。マズイ・・・。」「まずい〜?」「お、おいしいです・・・。」と言いながら、そんな自分がおかしくなり笑いが止まらない。「まさかマレーシアに来て梅干食べさせられるなんて思ってなかったでしょ。」と笑われ、さらに笑いが止まらない。するとだんだん、笑い過ぎて涙目になってしまった。それに気付いたアキさん、「泣くなよ〜。何で泣くのぉ?」って。先生もアヤも「泣いてるー。」って笑ってる。そう言われると余計、私の意志とは反対に涙がじわじわにじんくる。「や、泣きたいわけじゃないんですけどぉ。ちがう、ちがうっ。」って笑えば笑うほど止まらない。「ちょっと待てよ〜。そこ通った人が、またアキが女の子泣かしてるって思うじゃん。」「や、や、別に私、泣きたいわけじゃないんですけどぉ。」「そんなに梅干やだった?ごめんね。アヤちゃん、助けてあげて。」と、私は梅干がイヤで泣いた事になり、私が途中まで食べた梅干は、アヤの胃袋に収められた。何でこんなに涙が出てきたのか私にも分からないけど、あー、恥ずかしい。

 午後、まずはまたビーチより海へ入り講習。午前に比べたらだいぶ落ち着いたかな。1度、勝手に体が浮上してしまったけど。海から上がった後はプールにて講習。アキさんの、「さぁ、これからちょっと大変です。いっぱい水を飲んでもらいます。」という言葉に、「一体これから何をやるんだろう・・・。」とかなりビビるが、とりあえずビビるマンに変身する事なく、17時、本日の講習終了。
(写真:午後、海へ入る前に。これから海へ潜りま〜す。)

 18時半、アキさんちに行き、アヤと一緒におにぎりを作る。具は、おかかと梅干。「アイちゃんは梅干だよ。もう、食べれるもんね。」と、アキさん。「え・・・。」と笑っていると、「大丈夫。私が食べてあげる。」と、アヤ。友達だ〜!

 19時過ぎ、アキさん、先生2人、ロマンスさん、アヤ、私の6人でビールでカンパーイ!今日の夕飯はアキさんお手製の、春雨スープ・ラムチョップとリブ・・・何だっけ?の焼肉・野菜炒め・生野菜サラダ、そして、おにぎり。焼肉のタレとサラダのドレッシングもアキさんの手作り。すごい!みんなでワイワイ食べる夕飯は楽しい。が、やっぱりここでも言われてしまうのだ。「今日、梅干食べて泣いてんの。」「違うんですよー。笑い過ぎると涙が出てきちゃうんですよ〜。」と笑っているとまた、涙目に・・・。「泣いてるよ。」と、アヤ。何か変だ、私。(写真:みんなでカンパーイ!)

 食後、今夜は村でお祭りがあるというので、ロマンスさんとアヤと3人で行ってみる事にした。この村のどこにこんなに人がいたんだろう?と思うくらい人が集まっていた。普段、道やビーチを歩いてても、そんなに人に会わないのに。何のお祭りなのかはよく分からないけど、無料で食事ができるらしい。21時になるやいなや、お皿を手にした人たちがどわ〜っと料理の周りに集まってきた。ちょっと怖い。夕飯を食べたばかりの私たちは、スイカとシロップゼリーをもらって帰る事にした。

 ビーチを歩きながら帰っていると、木の枝からぶら下がっているブランコとハンモックを発見。「乗りたい!」とブランコで遊んだ後、3人それぞれハンモックに横になる。ロマンスさんの旅行や動物の話しを聞きながら、ぶ〜らぶ〜らと揺れている。波の音は心地良く、揺れながら木の葉の間に見える月もとても明るくて綺麗。ときどき吹いてくる風も涼しくて気持ちいいし、遠くから聞こえてくるお祭りのざわめきもいい。気持ち良くてついウトウトしてしまう。ティオマン島の雰囲気って「小学生の頃の夏休み」みたい。いいな。

 屋に戻って、さっそく蚊取線香をたく。これで今日こそ快眠だ!それにしてもこのベッド、何回落ちれば気が済むんだろう。しかも、ドアノブはすぐに外れるし。何とかしてほしい。

 明日は海での200m水泳。ちょっと心配・・・。

4月21日(日) 停電。 〔TIOMAN〕 

 早朝、鳥とコウモリの激しい鳴き声で目が覚める。他の村は分からないけど、『ABC』にはコウモリが沢山いる。(写真:コウモリがいっぱいぶら下がっている木。)蚊取線香の効果はバッチリで、夜中に痒くて目が覚める事はなかった。7時起床。朝食前にビーチを散歩する。誰もいない静かなビーチで、アヤと一緒に裸足になり、潮が引いてできた水たまりの中にいるカニやハゼを追い回す。

 満足してから『MAWAR』へ朝食を食べに行くがやっていないので、Jettyの所にある『ZINZAS MALAYFOOD RESTAURANT』へ行く。私が頼んだトースト(バター&ジャム)はすぐに出て来たのだが、アヤが頼んだフルーツパンケーキがなかなか出て来ない。やっと出て来たと思ったら、「フルーツ」と言っているわりにはバナナしかのっていない。でも、味は悪くない。食べていると、これからボートダイビングに行くアキさん、先生2人、そして、お見送りのロマンスさんが通りがかった。お見送りが終わったロマンスさんも来て一緒に朝食を食べた後、アヤと私はミロアイスを買い、部屋の前で食べた。今日は、午後アキさんが帰って来るまで予習をして、帰ってきたら学科と200m水泳だ。
 
 10時。ロマンスさんとアヤと3人で『TIOMAN RESTAURANT』へ行き、それぞれ勉強を始める。今日の講習、スタート。
詳細は『ダイビングライセンス取得奮闘記 in ティオマン島』へ。】
 お昼は『TIOMAN RESTAURANT』で、フライドビーフン with チキンを食べた。結構、ビーフンがお気に入り。食後、ロマンスさんからバナナケーキをもらった。繊維たっぷりでおいしい。『TIOMAN RESTARANT』からちょっと行った所で、おばあちゃんが焼いて売っているのだそう。他にも、ココナッツまんじゅうとかをその日の気分で作っているそうで、ココナッツまんじゅうもおいしいらしい。今度買いに行かなくちゃ。勉強中、サルとカワセミと大トカゲを見た。大トカゲとリスとコウモリは本当によく見かける。(写真:道路横断中の大トカゲ。)

 14時半頃、アキさん、先生2人が戻って来た。そして、15時から学科の講習スタート。私たちが講習を受けている最中、ロマンスさんは見知らぬ男の人と話しをしていた。日本人?それとも外人??そして、アキさんの予想に反してダイブテーブルを使った計算につまづく私たち。それでも何とか、無事、学科のテストは合格。その後18時くらいから、海での200m水泳。でも、実際は200mもなかったと思う。が、やっぱり死にそうになりながら泳いでいた私は、2回もロマンスさんにつかまらせてもらってしまった。情けない。しかも、岩に左足をぶつけて痛い。はぁぁぁ。潜るのもダメ。泳ぐのもダメ。ちょっとへこむ。ずいぶん前にビーチへ戻ってきていたアヤとしばらく放心した後、部屋に戻った。


 トイレの電球が切れたので、『TIOMAN RESTAURANT』へ言いに行く。ついでにドアノブも直してもらおうと思うが、こういう時に限って壊れない。「部屋を替える?」とも言われたがそれも面倒臭いので、壊れたらまた呼ぶ事にした。ついでに入口にも電気を付けて行ってくれたのは良かった。本当はこうだったんだ。

 ふと床を見ると血が垂れている。「何これ?」と思ってよく見ると、さっき岩にぶつけた所が2cm位スパっと切れていた。「・・・。」かわいそうな私の左足。弁慶の泣き所の次は、足の裏と甲の間なのね・・・。部屋の外のイスに座って、アヤが消毒をしてくれる。それから2人でビーチへ行き、波打ち際に座り込んで「気持ちいー。」と水に浸っていた。

 19時過ぎ、だいぶ日が暮れ寒くなってきたので部屋に戻り、順番にシャワーを浴び始めた。アヤがシャワーを、私が髪の毛に分け目を作っているその時、突然、真っ暗になった。一瞬、何が起きたのか分からない。とりあえず、枕もとに出しておいた懐中電灯を探して電気をつける。アヤが、「何ー?」とびっくりしている。「停電みたい。」と言って、アヤにも懐中電灯を渡す。外に出て辺りを見てみると、やっぱりどこにも電気がついていない。でも、月明かりで真っ暗なわけではない。それでも、何だかいつも以上に静かに感じられてちょっと怖い。少しして、ドンドン、と誰かが戸を叩く。びくっとして、「誰ですか?」と聞くと、「大丈夫?」とロマンスさん。「懐中電灯は持ってるみたいだね。アキさんとTIOMAN RESTAURANTにいるから。」「はい。後で行きます。ありがとうございます。」ドアを閉めると奥からアヤが、「誰ー?」と言うので、「ロマンスさん。心配して来てくれたみたい。」と、ホっとする。


 夕飯を食べに外へ出ると、ちょうどアキさんが戻ってきた所だった。「大丈夫?TIOMAN RESTAURANTにロマンスがいるよ。」と言われ、『TIOMAN RESTAURANT』へ行く。停電でレストランはどうなってるのかと思いきや、ろうそくをつけて営業していた。これはこれで、ちょっといい感じ。が、ロマンスさんはいない。「いないね。」「もう帰ったのかな?」「ね。」と、とりあえずマレーシア風炒飯ナシゴレンを注文する。するとロマンスさん登場。うまい具合にすれ違ってしまったみたい。まだお腹が満たされていないロマンスさんも料理を注文。それから少しして、お店の人が「ライス フィニッシュ。」と言いに来たので、『ABC RESTAURANT』へ移動する。気分はすっかりナシゴレンだったので、カンポンフライドライスを注文。料理を待っている時、突然アヤが叫んだ。何事かと思ったら、突然、アヤの膝にネコが飛び乗ってきたのだ。びっくり。後から私の膝にも飛び乗ってきて、何をされても嫌がらないネコなので、つい、ヒゲを引っ張ったりして遊んでしまう。(写真:こんな事しても嫌がらない。ってヒドイ?)
 
 停電は『ABC』だけのようだった。隣村には電気がついている。どうも、『ABC』の発電している所だか電線だか何かに木が倒れて切断されてしまったらしい。いつ復旧するか分からない、なんて話しをしていると、突然明かりが復活した。突然停電、突然復活。停電なんてそんな物。良かった、良かった。

 明日はボートダイビング。これが終われば講習終了。頑張らなくちゃ。でも、ものすごく不安。大丈夫かな〜・・・。緊張のせいか、お腹の調子が悪い・・・。

4月22日(月) じゃらん じゃらん。 〔TIOMAN〕
 6時半起床。何だかアヤの調子が悪そうだ。体が熱いらしい。とりあえず朝食を食べに外へ出る。すると、ロマンスさんもちょうど行く所だったので、3人で『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』へ行く。チーズJAFFLEを注文。料理が出るのを待っている間、ここで飼っている(?)ニワトリの親子の写真を撮る。3匹のヒヨコがかわいい。朝食後、部屋に戻ってから、やっぱり何だか変だというアヤの熱を計ると微熱が。アキさんにその事を伝え、今日の講習は中止。オレンジ味のヨーグルトドリンクと熱さまシートをアキさんがくれ、アヤ、就寝。

 時間が出来たのでインターネットをしに行く事にした。ロマンスさんに聞いたところ、インターネットができる所は『ABC』に1ヶ所だけあり、1時間10RM。隣村の『Tekek』まで行けば5RMでできるらしいが、ここから30分はかかるらしい。とりあえず近場で、と思い場所を教えてもらうと、そこへ水を買いに行くからとロマンスさんが連れて行ってくれた。『ABC』の突き当たりのような場所にある『BAMBOO HILL CHALETS』でインターネットができる。ちゃんと日本語で読み書きでき、海外初のインターネットにちょっと感動。(笑)だけど、1食3RMとか4RMで済ませている私に10RMは高い。
    
『BAMBOO HILL CHALETS』へ行く途中に見かける景色。
 それから、ぶらぶらと写真を撮りながら散歩する事にした。すれ違う村の人が、「どこ行くの?」と聞いてくるので、その度にアヤがいつも言うのを真似て、「じゃらん じゃらん。(散歩)」と答える。『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』の前を通りがかった時、中から「おはよう。」と声をかけられた。「誰?何人・・・?」と思った私は、思わず「グッドモーニング」と答える。すると、「今日、ボートに乗ってダイビングしに行ってライセンスが取れるんでしょ?」と言われ、「何でこの人知ってるんだろう?誰??しかも、バリバリ日本人だ・・・。」と頭の中は「?」でいっぱい。とりあえず、「そうだったんですけど、友達が熱出ちゃって、今日は中止になったんです。」と答え、また歩き続けた。でも、頭の中は「?」でいっぱい・・・。

 Jettyまで来たとき、いつもJetty付近にいるおじさんに「何してるの?」と聞かれたので、「じゃらん じゃらん。」と答えると、「そこで写真を撮るといいぞ。」といった感じで屋根付きベンチのような所に立たされた。そして、右手の指を軽く曲げ、頬に当てるように指示される。そんなポーズを取らされ、ちょっと恥ずかしい・・・。さらに髪の毛を直されたり、洋服を直されたりし、まるでモデルとカメラマン状態。おじさんはかなりカメラマンになりきっていて、まじめな顔で「ビューティフル」と言いながら、細かな指示を出してくる。おかしくて仕方ないものの、かなり恥ずかしい。もういいから、早く撮ってー!その後、Jettyを散歩しているとまた現れ、また、「そこがいい。」と色々な所で写真を撮ってくれようとするので、「もういい。行くねー。」と、逃げるようにJettyを立ち去った。
(写真:こんなポーズを取らされた。恥ずかし〜。)

 「どこまで行こうかな〜。」と思っていると、こないだお祭りがあった所まで来たので、そこのビーチの木陰で休んで行く事にした。この辺りのビーチは真っ白な砂浜のビーチで、目の前には真っ青な海が広がっている。本当に綺麗。木陰に入るだけでも涼しいのに、ときどき涼しい風も吹き、とても気持ちがいい。そこで私は、今日のこの時間までの日記を書いた。短期間の旅しかした事のなかった私は、「何もしない時間」がもったいなくて、いつもとにかく動き回る。そんな私だったので、日記を書きながら「何て贅沢で気持ちのいい時間なんだろう。」と、ものすごく幸せな気持ちになった。のんびりするっていいなぁ。あぁ、幸せだ〜。(写真:こんな木陰でのんびりと。)

 しばらくボーっと海を眺めた後、お昼近くなったので、いったん部屋に戻る事にした。戻りながら、砂浜に貝殻で2人の名前を書いて写真を撮って満足したり、逃げ惑う大トカゲを追いまわしてみたりした。シャレーに戻るとアキさんが、「アヤちゃん、お昼食べれそう?食べれなかったら、お粥作ってあげるよ。」と声をかけてくれた。部屋に入りアヤにそれを伝えると食べに行けると言うので、『MAWAR』へ行く事にした。アヤが出かける支度中、『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』にいた人の話しをした。「何で私たちの事、知ってるのかなぁ?」と「?」でいっぱいの私に、「昨日、TIOMAN RESTAURANTでロマンスさんと話してた人じゃない?」と、アヤが解決してくれた。なるほど。そうだった、そうだった。

 『MAWAR』に向かう途中、『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』の先にある橋の欄干の上で写真を撮っている、裸足の「彼」がいた。やっぱり異国情緒が漂っている。「もう熱、大丈夫なの?」「うん、大丈夫。」とアヤ。「お大事にね〜。」の声に見送られて『MAWAR』へ向かう。お昼はヌードルスープ。野菜たっぷりで、あっさり塩味の温かいスープが体に染み込んで行く。かなり満足。
(写真:おいしかったヌードルスープ)それから、のんびり散歩しながら戻って行くと、『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』から手を振るロマンスさん発見。日本人の女の子と一緒だ。「大丈夫?」「はい、もう大丈夫です。」とアヤ。そして部屋に戻り、アヤは再就寝。私は、部屋の前のイスでポストカードを書く事にした。

 のんびりポストカードを書いていると、アキさんが家から出てきて「お茶飲む?」と、マンゴーティーを入れてくれた。アキさんちのテーブルでごちそうになっていると、アキさんが飼っているネコ、たまにゃんとその子供たち、モモ、チャチャ、シロが集まってきた。みんなとてもかわいい。私の膝に乗ろうとしたモモを抱き上げて膝の上に乗せたらそのまま熟睡。モモちゃん、かわい〜。モモちゃんを膝に乗せたまま、アキさんに色々な写真を見せてもらいながら話しをしていた。
    
かわいい、かわいい、モモちゃん♪
 少しして、『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』で話していた女の子を連れて、ロマンスさんが戻って来た。1人旅中にティオマン島に寄ったというトモちゃん。トモちゃんもダイビングのライセンスを取る事になったそう。トモちゃん、すごく楽しい。4人でお茶を飲んでいると、「昨日の彼はどうするって?どこ行ったんだろう?」と「昨日の彼」の話しになった。あ、あの異国情緒溢れてる人だ。「さっき、あっちの方で写真撮ってましたよ。」「あ、ホント。」

 それからしばらくして、「アドバンスまで取りなよ。」という話しに。何度も言われていて、「いやいやいや〜。」と濁してきた私たちだったのだけど、ロマンスさんが「取ればいいのに。」と言うと、何度も「取りなよ。」と言っていたアキさんが、「でも、2人は取らない気がする。」と一言。それを聞いて思わず、「ホントは最初、取るつもりだったんですけどね。」と言ってしまった。すると、アキさんもロマンスさんも「えぇ〜〜?」。あ、余計な事言った?私・・・。「ロマンス聞いたかよー。オレ、今ものすごく傷ついた。最初は取るつもりだったのに、オレの講習受けて取る気がなくなったんだって。」とアキさん。「違いますよー。だって、だって、私、ムリじゃないですか。オープンウォーターでいっぱいいっぱいですもん。もっと練習しないとムリですよ〜。」と大慌て。「大丈夫だよ。日にちも、明日オープンウォーター終わってあと2日あるし。それか、またティオマン島に戻ってくればいいじゃん。」「いや〜・・・。」もう何も言えない。でも、アヤは取りたいような事言ってたし、できる事なら私だって取りたいけど、でも、その前にまずは明日のボートダイビングでしょう、やっぱり。

 しばらく4人で話した後、「泳ぎたい。」と言って、トモちゃんは泳ぎに行ってしまった。「泳ぎたい。」と思えない私は、トモちゃんを尊敬の眼差しで見送る。アキさんに「泳いでくれば?」と言われるものの、何とな〜くすっとぼける私。浮き輪があれば喜んで行くんだけど。(笑)ロマンスさんも日課の水泳のため、泳ぎに行ってしまった。少しして2人が戻って来て、「例の彼」もやって来た。そして、「彼」もダイビングのライセンスを取る事に。それからしばらくみんなで色々話していた。アキさん、今日はいつも以上に下ネタトーク絶好調!


 夕飯の時間になったのでアヤを起こし、みんなで『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』へ行く事に。アヤ、すっかり元気になったようで良かった。歩いているとサイドカー付きのバイクが通りがかった。「どこに行くの?」と聞かれアヤが答えていると、「タダでレストランまで連れてってくれるって。」と、3人でサイドカーに乗って連れて行ってもらった。楽しい。お昼に食べたヌードルスープが忘れられず、ここでもヌードルスープを頼んでしまった。おいしい。「例の彼」も1人旅をしていて、ふらっとティオマン島に寄ったのだそう。とても異国情緒溢れていて、カンボジアのアンコールワットに行った時はカンボジア人だと思われ、あの高い入場料を払う事なく遺跡を見て回ってきたとか。うらやましい。そして、どこに行ってもみんなに、「キタロウ」と呼ばれるのだそう。あのシンセサイザー奏者の「きたろう」に似ているかららしい。というわけで、今から「キタロウ」。
 
 話しているうち、今日はキタロウの誕生日だという事が分かり、アキさんちでお祝いのワインを飲む事になった。とにかくみんな面白い。おかしくておかしくて笑いが絶えない。そしてやっぱり、アキさんの下ネタトーク絶好調。どこまで行っちゃうんですか〜?でも、お願いだから話しをふらないで〜。(笑)私がモモちゃんと遊んでいると、「モモとダイビング、どっちが好き?」とアキさんに聞かれ、「え・・・。」一瞬言葉に詰まる。「それとこれとは違うじゃないですかぁ。」と答えると笑われた。それから、「アドバンスまで取りなよ。また戻ってくればいいじゃん。」と言われ、「う〜ん、ねぇ?」
と、アヤと顔を見合わせる。まだ何とも言えない・・・。

 あぁ、明日はボートダイビング。かなり不安なり。

4月23日(火) 巨大ビビるマン現る。 〔TIOMAN〕
 6時半起床。『SOUTH PACIFIC RESTAURANT』へ朝食を食べに行く。後からロマンスさんも合流。昨日、ロマンスさんが食べていてすごくおいしそうだったので、スクランブルエッグ on トーストを食べる。何だか、卵がすごくおいしい!と思うのは私だけ?

 アヤと、「念のため飲んでおいた方がいいよね。」とアキさんに酔い止めをもらい、8時半、本日の講習スタート。Jettyへ向かう前にコンパスの使い方を習い、1回ずつ練習してJettyへ向かった。考えないようにしようと思いつつ、かなり緊張。だんだん無口になっていく私・・・
【詳細は『ダイビングライセンス取得奮闘記 in ティオマン島』へ。】
 心配していた通り1本目の『CHEBEH』でビビるマンに変身し、潜降中、アキさんの腕をつかんで離さず、そして、緊張と気落ちのためお昼のナシルマ(ご飯に小魚・ピーナッツ・卵・きゅうりなどと、辛いサンバルというソースが添えられたもの。)もほとんど食べれなかった。けれど、食後に行ったスノーケリングでのコンパスナビゲーションの練習でリラックス。これで大丈夫かと思いきや、耳に水が入って一気に不安になり、そしてまた、2本目の『BATU MALANG』で巨大ビビるマンに変身してしまった。1人ボートで待つ事になり、その間、スノーケリングに誘われれば誘ってくれた人を溺れさせそうにさせ、そして、「ダイビング、嫌いにならないでね。」のアキさんの言葉に泣きそうになり・・・。今日はさすがの私もかなりへこむ。

 Jettyに着き、LOG付けをするため『TIOMAN RESTAURANT』へ向かう。そこには、今日は予習の日のキタロウとトモちゃんと、そしてロマンスさんがいるはずだ。みんな当然、今日、アヤと私はライセンスが取れるものだと思っているだろうな、と思うと、かなり気が重くなってくる。誰にも会いたくないなぁ・・・。『TIOMAN RESTAURANT』へ行くと、すでに予習が終わっていたトモちゃんの姿はなく、ロマンスさんとキタロウと、そして、やっぱり1人旅中だというサトちゃんがいた。みんな「おつかれー。」と言うだけで明るい。何だかみんなと顔を合わせるのが恥ずかしい。でも、「アキさんがもう言って、みんな気を使ってくれてるのかな?」と、元気にしなくちゃと思うが、やっぱりかなりへこみ気味。LOG付け中、サルがスイカを盗んで逃げて行くのを目撃するが、やっぱり気分はへこんだまま。いつもの私なら大興奮だろうに。

 LOG付けが終わると、アキさん、キタロウ、トモちゃんは学科の講習のため、「暑いから。」とどこかへ行ってしまった。サトちゃんもどこかへ行ってしまった。アヤと私はそこに残り、ロマンスさんに魚の事を教えてもらっていた。話しの中で、私が今日終わらなかった事をロマンスさんが知らないという事に気付き、「私、今日、パニくっちゃってできなかったんですよ。だから明日もう1回潜るんです。」と笑いながら言うと、「そうなんだ。落ち着いてやれば大丈夫だよ。」「そうだよ。大丈夫だよ。できるよ。」と、ロマンスさんとアヤがさらっと言ってくれ、その「さらっ」にホっとする。ちょっと気分が落ち着き、そうしたら急にお腹が空いてきた。なので、ロマンスさんはまだ勉強があるし、私たちはおばあちゃんのバナナケーキとココナッツまんじゅうを買って部屋に戻った。アヤと2人で部屋の前のイスに座って、焼きたてのバナナケーキとココナッツまんじゅうを食べる。何だかとてもおいしい。それからシャワーを浴びた後、とても疲れきっていた私たちは昼寝をした。暑くけだるい午後の昼寝は何とも気持ちがいい。


 夜、「みんなでご飯食べに行くけど。」と、ロマンスさんが声をかけてくれた。外に出ると、サトちゃん、キタロウ、トモちゃんがいて、アキさんは、ショップの人やお客さん(?)ら数人の外人さんと盛り上がっていた。『MAWAR』へ夕飯を食べに行く。どんな食べ物かよく分からないままミーバンドンを頼む。トマトがベースなのかな?赤いスープに麺が入っていておいしい。みんなで食べる夕飯はワイワイと楽しい。が、相変わらずへこんだままの私はいつものように話せない。耳も、相変わらず水が抜けずボワ〜ンとしてるし。

 夕飯後、サトちゃんは部屋に戻ったけど、みんなで『TIOMAN HOUSE』の前のビーチへ。みんなの話しは本当に面白く、いい意味で沢山の刺激を受ける。今、この場にいないアキさん、サトちゃんを含め、「本当にみんなすごいなぁ。」と思う。旅が終わった後、私は何をするんだろう?そんな事も考え出してしまい、へこんだままの私はついついボーっとしてしまう。そして、何となく1人になりたくて、ふら〜っとみんなから離れ、石の上に座っていた。すると、みんながさりげなく側に来てくれて、露骨にへこんでるような態度を取ってしまった事を反省。明日こそは頑張ろう。

 雲が多く月が明るいため、期待していたほどの星は見えない。それでもやっぱり、今日も南十字星は綺麗だ。

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