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南の国の旅日記・2
in
マレーシア・タイランド・カンボジア
【シェムリアップ編・1】


INDEX

11月8日(火) 調最悪・・・シェムリアップは遠かった

どうにもこうにもお腹が張って苦しく、なかなか寝付けずにいた。
それでもウトウトしながらお腹が楽になるのを待っていたけれど、どうしようもない吐き気に襲われ、トイレへ駆け込む。

1回目の嘔吐でかなり未消化物を吐き出したので、これで楽になると思った。
でもその考えは甘く、朝までにさらに2回、かなりの量を吐いた。
そして嘔吐だけに留まらず、ものすごくヒドイ下痢も止まらない。はっきり言って、水。
トイレから戻ってベッドに潜りこむ度に、ゾクゾクと激しい悪寒と腹痛・胃痛と吐き気に襲われる。
今にして思えば、この時かなりの熱が出ていたのかもしれない・・・。

早朝5時。かけていた目覚ましが鳴る。が、すでに目は覚めきっていた・・・。
本当に本当に本当につらく、病院嫌いの私が点滴を打ちたいと思うほど。
こんな状態で、何時間もかけてカンボジアまで行けるのかと不安になる。しかも、悪路。
トイレに行きたくなったらどうしたらいいのだろう。すでに、自分の意志で何とかしていられる状態ではない・・・。

それでも、正露丸を飲んだ私は、「あと数時間したらケロっとするかもしれない。」という希望をもち、
予定通り出発することにした。
とは言っても、荷物を持って部屋を出ようとするとトイレへ行きたい衝動に駆られ、やはり不安になる。
受付で荷物を預けた後もトイレに行きたくなり、また、部屋へダッシュ。
本当に大丈夫なんだろうか・・・。

少し早めに、集合場所に到着。長袖を着て小さく丸まり、なるべく体を温めるように、
そして、ギリギリと痛む胃や背中を自分でさすりつつ、出発時間を待つ。
本当に本当に本当につらく、地面に下ろしたバックパックにもたれかかってグッタリ状態。
そしてやっぱりやってくる、激しい便意。
みんなが集まり出すまでに、3回もトイレに駆け込む事に。

日本人の男の子3人組が、同じくミニバンを待っているよう。でも、旅行会社の人らしき人がやって来ない。
7時を過ぎた位にミニバンが止まり、中から数名の白人と旅行会社の人らしきタイ人が降りて来た。
そうか、順番に回って来てるから遅れたのか。
だんだんお腹が落ち着いてきたような気がするけれど、万が一吐きたくなった時のために、
窓側に座れるといいんだけど。
などと考えながら、ミニバンに乗り込む気マンマンでいると、違う場所まで歩いて移動すると言う。
どこ行くんだろう?

連れて行かれた先は、ゲストハウスも経営している旅行会社。どうやら、ここに色々な所で予約した人たちが集まり、
シェムリアップを目指すらしい。しかもミニバンではなく、大型バス。
スピードの速いミニバンだから、国境まで2時間位で着くって話しだったんだけど・・・。
しかも、6時半に集合させておいて出発は8時。こんな事なら電車で行ったのに、と、つい愚痴っぽく思ってしまう。
国境近くまで電車で行ってみようと思ってたのだけど、「ミニバンの方が早い。」と勧めたのは旅行会社の人。
話しが違うじゃん・・・。

最初はいつになったら出発できるのかも分からず、波のある腹痛に苦しみながら、
ただただイスに腰掛けてグッタリしていた。・・・横になりたい。

8時近くになってようやくバスが到着し、中へ。2階建ての大型バスだったので、「トイレ付き?」と一瞬安心したものの、
バスは大きいだけでトイレはついていなかった。はぁ。

2階の一番前の席に座る。目の前の大きな窓ガラスからは、タイの暑い日差しがギラギラと差し込む。
いつもなら「暑い。」と思うのだろうけど、今の私にはありがたい。
エアコンも当たらないように向きを変え、ひたすら胃をさすりながら眠るようにしていた。
さすがに途中から暑さがきつく感じ始め、かえって体力を消耗してしまうかもしれないと思いつつ、
羽織っているカーディガンを脱ぐと一気に体が冷えるような気もし、ついつい我慢してしまった。

予定よりも1時間半遅れで出発したこの大型バス、少しでも早く国境にたどり着きたいのに、本当に頭に来るほど遅い。
嫌がらせかと思うようなスピードで、次々と他の車に追い越されて行く。
途中で停まったと思ったら、運転手とその付き人みたいな人が、自分たちの食べ物と飲み物を買っている。
しかもビール!ちょっと、なめ過ぎなのでは(怒)。
いつ飲んだのかは分からないけど、でもまさか、ぬるくなってから飲むとも思えない。

線路を越え、そろそろボーダーかなと思っていると、レストランの前でバスが停車した。
すでにVISAを持っている人はこのまま先に進めるのだけど、無い人はここでお昼を食べながらVISA待ちとのこと。
「またここで足止めを食らうのか。」とうんざりもしたけれど、とりあえずトイレがあるのでホっとする。
少し迷ったけれど、とにかくもうノドが乾いてどうしようもないので温かい紅茶を注文。
バスの中でも口を湿らせる程度には水を飲んでいたのだけど、ようやく体内に水分が補給された気がする。
ついつい2杯も飲んでしまい、何度か腹痛の波がやってきてトイレへ。
でも、ここでもう1度正露丸を飲んだら落ち着いてきたような気が・・・。


何だかんだ1時間近く待ち、ようやくVISAが出来上がってパスポートが手元に戻って来た。
そして、乗り合いバスのような車に乗り込む。
両側に向き合うようにシートがあり、真ん中にテーブルがある。
最初はゆったりと座れていて、あまり乗ったことのないこういう車にワクワクしていたのだけど、
あっという間にぎゅうぎゅう詰めになった。荷物は、目の前のテーブルの上に山積み状態。
とにかく、国境へ向け出発。




15分位は走ったかな、14時、ようやく国境に到着。6時にホテルを出てから8時間、やっと国境まで来れた。
最初の話しでは、8時半位には着くハズだったのに・・・。

旅行会社の人に、この後の行き方を聞かれこの先のバスチケットもあると言われるが断る。
とりあえず、早くタイの出国手続きとカンボジアの入国手続きを終え、タクシーをシェアできる人を見つけたい。
バスが停まった所からタイのイミグレまで少し距離があり、何となくみんなの流れについて歩いて行く。


 

「どこにイミグレがあるんだろう?」と思い始めた頃、右手にパスポートを手にした人たちが並んでいるのが見え、
何も考えずに並んでしまった。が、ここはタイの入国用の列。
よく見ると、もう少し先の左手に出国用のイミグレが。すぐに気づいて良かった(笑)。




上の写真の門が近づいてくると、だんだんワクワクし始めた。
カンボジアだ!人生2度目のアンコールワット!

お腹の調子もだいぶ良いようで、体調の不安よりも
カンボジアへの期待が膨らんできた。
体調が復活してきた証拠かな。

門を抜けると、両脇にカジノが並ぶ。
今まで1度もカジノに行ったことがない私は、
何だかキョロキョロしてしまう。
カッキーさんが、ポイペトでカジノがどうのこうのと言っていたけれど、
こんなにあるとは思わなかった。

でも、このボーダーのタイ側もカンボジア側も特にこれといったものはなさそうだし、どんな人が、ここに来るんだろう。

・・・そりゃやっぱ、カジノに来るのか、みんな。



どんどん歩いて行くと右手にカンボジアのイミグレが現れ、入国手続き。
マレーシア・シンガポール・タイ以外のスタンプが押されるのは久しぶりで、ちょっと嬉しい(笑)。

イミグレを抜け目の前に広がった景色を見て、久しぶりに東南アジアに来た時の感覚を思い出したような気がする。
うまく言えないのだけど、「うわー、私が住んでいるところとは違う。」というような気持ち。
どこかで身構え、どこかでそれを楽しんでいるような。

最近、マレーシアでもシンガポールでもタイでも、前は「すごい!」とワクワクしながら見ていた物が
特別な物に感じられなくなっていて、少し寂しく感じていた。
なので、久しぶりの感情にワクワク。

イミグレを抜けた途端、全く雰囲気の違う場所に出た。
ぐちゃぐちゃにぬかるんでいる所があるかと思えば、ものすごく埃っぽく、先が砂埃で霞んでいる。
とにかく、決して裕福とは言えない雰囲気がある。


 

声を掛けて来たタクシーの運転手に、とりあえず値段を聞き軽く値段交渉。
カオサンの旅行会社でタクシーの相場を聞いてきていたのでUS$40で粘る。
とりあえず他のタクシーとも交渉してみたいし、第一にタクシーをシェアできる人を探したい。
側から離れないタクシー運転手を適当に交わしながら少し付近を歩いてみる。
タクシー運転手もかなり粘り、どこまでもついてきて離れない。

イミグレの前の広場から少し離れると、あっという間に砂埃に巻き込まれてしまう。
コンタクレンズをしている私にはちょっとキツイ。
それでも周りをキョロキョロ眺めながら歩く。これは、エイズ防止の看板かな。
東南アジアも、エイズ感染者の数が多いんだよね。コワイ、コワイ。




イミグレの前の広場に引き返し、粘るタクシー運転手にUS$40を粘る。すると、運転手が折れた。
よし、あとはシェアできる人がいれば。
と、ちょうどタイミング良くチャイニーズカップルが歩いて来る。
声を掛けてみると、チャイニーズカップルもこの話しにのってきた。これで決まりだ!
と思ったら、「シェアするならUS$45だよ。」と言い出した。
結局US$44で話しが決まり、車へ乗り込んだ。
粘っていたのは英語が話せる交渉係の人だったらしく、運転手は別の人。
まぁ何にしても、これでゆったりとシェムリアップに向かえる。
あとは、このままお腹がもってくれることを祈るのみ。

さぁ、出発だ!と思ったら、警察官がやってきた。一体、何事?
どうやら交渉をしていたタクシーは無認可のタクシーだったようで、ここから少し離れた所にあるバスターミナルだか
タクシーターミナルだかに行って、そこから乗るように言われてしまった。
せっかく話しがまとまったのに・・・。

トゥクトゥクでB10(約30円)だからとトゥクトゥクの準備までされ、仕方なく乗り込む。
砂埃が巻き上がる道を行くので目が痛い。
5分ほどで到着し、話しを聞くとタクシーはUS$50なのだそう。
一応バスの値段を聞いてみると、1人US$10。
だったらタクシーで行くのとたいして変わらず、速いし楽なのはタクシーなのでタクシーを頼む。
こうして、チャイニーズカップルとのシェムリアップへ向かう旅が始まった。

15時20分、今度こそ本当に出発。「悪路」とウワサの悪路とは、一体どんなものなのだろう。
走り出してすぐ、その意味が分かった。
ぼっこぼっこの赤土の道路がどこまでも続き、赤い砂埃が舞い上がる。
かと思えば、ぐちゃぐちゃの泥道になっていて、まるで雪の上を走っているかのよう。
乗っているだけの私が、「タイヤを取られるんじゃないか。滑ってどこかにつっこむんじゃないか。泥道にハマるんじゃないか。」
とハラハラしてしまう。
あまりにボコボコの道をガタガタと激しい振動を受けながら進んで行くので、車が壊れるんじゃないかと心配してしまう。

が、ある程度行った所でそれまでの赤土の悪路が舗装道路になった。
「あ、これで終わりなんだ。何だ、そんなに言うほどの事もないじゃん。」
そう思ったのは甘かった。
またすぐにさらにヒドイ道に入り、そしてそのまま、どこまでもどこまでも赤土のボコボコぐちゃぐちゃの悪路が続くのだった。
シェムリアップへ続く道には小さく短い橋がたくさん架かっていて、その上を通る時だけ平静が訪れる。
が、ホっとできるのも束の間。
またすぐに、ガッタガタの道を激しく揺られて行くことになる。

360度どこを見ても平原が続くシェムリアップへの道。
途中、虹が出ていてみんなで感嘆。
クラクションを鳴らしてもどかない2匹のニワトリに、平気で突っ込んで行く運転手。
「えぇっ!」とみんなで振り返ると、1匹は何もなかったかのようにしていたけれど、1匹は足を引きずって暴れていた。
すれ違うバイクの荷台には、仰向けにくくりつけられた巨大な豚。
赤い砂埃がのき上がり方が特にヒドイ辺りの道沿いに生えている木や家は真っ赤っか。
どんどん暗くなっていくのに、「この先に何かあるのかな?」と思うような寂しい道を、自転車をこいで行く人たち。
色々な事が面白い。

下の写真は、ちょうどデコボコがなく安全な場所で、運転手さんがトイレを済ませるために停まった時に撮ったもの。
走行中にも何枚も写真を撮ったけれど、あまりの揺れに全部ボケボケだったりひん曲がっていたり・・・。




運転手さんはさすがに慣れたもので、うまくデコボコを避けたりスピードを落としながら、
なるべくヒドイ振動がないように、それでいてそれなりにスピードを出して進んで行く。
本当に、運転が上手。

この調子なら、順調にシェムリアップまで行けそうだと思っていると、突然、渋滞が起きていて停車。
初めは、細い道なので順番に道を譲り合っているのかと思ったらそうでもない様子。
私たちの後ろにもどんどん列が出来ていくし、前方に見えていた車の数もどんどん増えて行く。
気がつけばすっかり日は落ち、辺りは真っ暗。

痺れを切らしたのか、道から一段低くなっている畑にムリヤリ降り、
エンジンをふかしまくりながら進もうとしている車が次々と出始めた。
畑に降りたものの道へ上がれなくなっていたり、よく見ると前は川になっていて、
その浅瀬をみんなに押されたり引っ張られたりしながら向かって来る車も見える。
これが、旅行会社の人が言っていた「橋が落ちてると・・・。」というヤツ?

何だかよく分からないけれど、現場はひっちゃかめっちゃか。
外に出てみるとぐちゃぐちゃのヒドイわだちができている道で、橋まで歩いて行ってみると、
この悪路のせいで、トラックが橋の上で立ち往生していた。
トラクターのようなものが来ていて、どこから集まったのか地元の人間たちと協力してどかそうとしているのだけど、
トラックは、赤土のぐちゃぐちゃのわだちにハマってしまっていて動かない。

その作業と平行して、トラックの脇にわずかに残っている道路から、1台ずつ車を進ませる作業も進んでいた。
何と、地元の人たちが川の中に入り、脇から支えた状態で進ませている。
1歩間違えば川の中に落ちてしまいそう。
そして、私たちのタクシーもその順番がやって来た。
車の中には運転手さんだけが残り、私たちは歩いて橋を渡る。
無事、トラックが立ち往生している橋を越えることができ、ようやく先へ進むことができるようになった。
協力してくれた地元の人に、運転手さんがお金を支払っていた。
これがあるから、どこからともなくみんな集まってくるんだろうな。

ここでの足止め時間、1時間20分。
長かったのか短かったのか。
何はともあれ、ここで夜中を迎えることにならずに済んで良かった。

この後は悪路ながらも順調に進み、お腹の方も、朝から何も食べていないのがいいのか、何とかもちそう。
しまいには、ガッタガッタ揺れまくっているタクシーの中で眠りこけてしまった。
時々、ガツンと窓ガラスに頭をぶつけて目が覚めたりもしたけれど、
ハっと気づくとこれまで見ることのできなかったネオンが沢山。すでに街中に入っている。
あぁぁ、シェムリアップに着いたァー。ただいま22時。

ティオマン島に来てくれたサトルくんオススメのゲストハウス、『TA SOM』で降ろしてもらう。
運転手さん、どうもありがとう。
が、今日はもう、満室で空きがないのだそう。
満室とは予想外で一瞬困ったけれど、とりあえず次に行ってみたゲストハウス『CHENLA』で部屋を見せてもらい、
ここのエアコン・ホットシャワー付きの部屋にチェックイン。部屋は広く、とても清潔。
ダブルベッドとシングルベッドがあり、冷蔵庫と、NHKが見れるテレビも付いていて何とUS$10。
4年前に泊まった中級ホテルの『BANTEAY SREY HOTEL』より、全然いい。


チェックイン後すぐ、受付で明日からの観光用のタクシーをお願いする。
1日US$20で、少し遠い場所になると値段が上がるのだそう。
それからざっとシャワーを浴び、宿のオープンエアになっているレストランで夕飯を食べることにした。
いつもならクローズする時間らしいのだけれど、イヤな顔1つせず開けておいてくれた。

だいぶお腹の調子がよくなったとは言え、
またあの苦しさが復活したらと思うと怖く、食べるのをためらってしまう。
でも少しだけ胃に入れた方がいいかと思い、ヌードルスープを注文。
フォーのような米麺だといいなと思っていたら、
出てきたのはインスタントラーメンだった(笑)。
でも、野菜たっぷりだったので、
野菜をつまむようにして半分くらい食べて終了。
後から知ったのだけどここは日本人宿だったらしく、
日本食もあるし、日本人バックパッカーが数人集まっていた。

食事を終えたら早々と部屋に引き上げる。
明日は少しゆっくりめの9時にお迎えを頼んだし、今夜はゆっくり休もう。
明日には完全復活していますように。

あぁ、長い1日だった・・・。


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