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ホーチミン&アンコールワット旅日記
in
ベトナム&カンボジア


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6月7日(木)
 
 朝、母親の声で目が覚めた。「・・・あれ?」。時計を見ると4:15a.m.。血の気がひく。なぜなら予定では4:30に家を出てチイの家まで行き、そのまま立川駅の羽田空港行きリムジンバス乗り場まで母親に送ってもらうことになっていたからである。やってしまった。前の晩、調子に乗って友達に「いってきますメール」を書いていたのだ。寝たのが1:30で、3:00に起きるつもりだった。確かに寝る前、「大丈夫かな?」と、ちょっと不安には思った。でも普段、あんまり寝坊をすることがないので「まさかなぁ。」と安心したのがいけなかった。私はそれでもシャワーを浴びようとして母親に止められた。そりゃ、そうだ。パニくってしまって何をしたらいいのか分からないのである。とりあえず自分を落ち着かせ何をするべきか考える。とりあえず洗顔・歯磨き・着替え・コンタクトだ!急いでそれらを済ませ、慌てて車に乗り込む。そしてチイの家に向かう間、化粧をする。まゆげだけは書かなくちゃ・・・。
 バス乗り場には一番のりで着いた。5:20発のバスに乗り、6:30に羽田空港へ到着、手続きを済ませ出発前の記念撮影。そして、8:05発JAL343便にて関西空港へ出発、のハズが30分遅れの出発となった。飛行機が離陸の順番待ちのため滑走路で渋滞してるのなんて初めて見た。関西空港に着いてからも、まず記念撮影。はっきり言ってバカな二人だった。でも、それがまた楽しかったりする。記念撮影の後、日本円をドルに両替し手続きを済ませた。のんきに写真を撮っていたけれど、30分遅れでの到着と、両替所の混雑のため、実はあまり時間の余裕はなかった。空港使用料のチケットを買うため券売機の所に並んでいると後ろから英語で買い方を聞かれる。「あぁ、海外旅行だ。」と気分が高揚し始めた。
 11:30発VN941便にていよいよホーチミンへ。離陸前、ベトナム人スチュワートさんが新聞を配り出す。記念にベトナム語の新聞が欲しくて「それ下さい。」ともらう。が、スチュワートさんは私たちを見てちょっとびっくりして「こっちでしょ?」とでも言いたげに日本語の新聞を差し出すが、私たちは「ノー」と笑う。そして腑に落ちなかったらしいスチュワートさんはまたやってきて、私たちに有無も言わせず、笑顔で日本語の新聞を置いて行った。それからずっと、目が合う度に笑われてしまった。離陸後、私は期待と興奮で落ち着かない。それなのに途中、お昼寝タイムみたいな時間があって窓は閉めさせられるし、映画もやらないしで時間を持て余し、飽き飽きしてしまった。私は飛行機の中であまり寝ることができない。まして昼間なんて寝れるわけがない。電車だったら寝れるんだけど・・・。きっと、わくわくし過ぎているのだろう。外でも見れれば違うのだけど。私は飛行機から見る空が大好きだ。

 ホーチミンが見えてきた。ぐにゃぐにゃうねる何本もの川が見えてくる。そして想像もしていなかった程の家・家・家。ホーチミンってこんななんだ!と驚く。そして興奮しながら写真を撮る。空港に着くとたまらなくわくわくしてくる。ついに来たんだ!飛行機を降りるときになって、私たちの後ろに座っていたご夫婦が、関西空港でチケットの買い方を聞いてきた人たちだったことを知る。ご夫婦はベトナム人で、今は仕事の関係でカリフォルニアに住んでいるのだが、1ヶ月の休みをとっての里帰りとのこと。見ず知らぬ人との会話がとても楽しい。

ぐにゃぐにゃの川と予想外の家々の数に驚く。
 飛行機を降りて、入国審査のための列に並ぶ。ちょっとドキドキする。諌山さんの紀行文にあった「ジャパニーズ、インベーダー」を思い出す。そう言われたらどうしよう。ちょっと考える。が、特に何も言われなかった。ほっとしたような期待外れのような・・・。まず最初にドルをドンに替える。ものすごい量に驚きつつ、ホテルまで送迎してくれるガイドさんを探す。何だか分からないけど沢山のベトナム人が群がるように出口付近にいて私は興奮する。あぁ、ベトナムに来たんだ!そして、それまで晴れていた空がウソのようにダークグレーに変わり、あっという間に雷とともに激しいスコールが始まった。痛い程の強い雨が激しく地面を叩きつける。私たちは慌ててバスに乗り込んだ。そしてバスは順番にホテルを回り始めた。

 飛行機は15:05にホーチミンに着いた。だから私は何だかんだかかっても16:00前後にはホテルに着けるものだと思っていた。ところがバスはいいホテルから順番に回り、その度に1人しかいないガイドさん、ホアマンが帰りの説明をしに行ってしまうので待ち時間が非常に長かった。だんだん飽きてきた私たちはバスが止まるたび外へ出て行き、またまた写真を撮ったり、バスからそんなに離れないようにしつつその辺をブラブラしていた。

木の根元の方は白く塗られ番号が振られていた。
 17:30頃、ようやく私たちのホテルに着いた。「BONG SEN HOTEL ANNEX」。こじんまりしたホテルだが清潔感があり「いい!」と思った。まず、小さなロビーのソファでホアマンから帰りの説明を聞く。するとホアマンが「お客さん、お待たせしてしまってすいませんでした。だから私、安いアオザイのお店と、おいしくて安い屋台に連れて行ってあげます。18:00にここへ来れますか?」と、ちょっとたどたどしい日本語で言う。私は何か「?」という気分だった。今、バスに乗ってた人たちみんなで行くのかな?せっかく個人旅行で来たのにやだな。でも、そもそもみんなに言ってるのかな?・・・・・。でもとりあえず私たちは、まずシンカフェという安いツアー会社に行ってメコン川クルーズの申し込みをする、という予定があったのでそう言って断ろうとすると、「分かりました。シンカフェにも行きましょう。」と言う。ますます「?????」である。チイはあまり気にしていないようで「じゃぁ、18:00にここで。」と言っている。う〜ん。でも、ま、ガイドさんだしな、大丈夫かな・・・。とりあえず部屋へ。
 ホテルのスタッフはみんなとても人懐っこい感じでいい人たちだ。荷物を運んでくれたタン、まだ鍵をもらってないのにエレベータに乗れと言う。持ってきてくれるのかな?と思っていたら、やっぱり私たちがまだ鍵をもらってないことを分かっていなかった。タンは驚いて笑いながら、フロントに鍵を持ってきてくれるよう電話をしてくれた。鍵が届くまでの間、タンと一緒に写真を撮ったりした。タンは目が合う度にとにかく笑う。つられて私たちも笑う。鍵が届くまで私たち3人は笑い続けていた。

とにかくよく笑うタン。
 18:00。下に降りて行くとホアマンが待っていた。タクシーで行くと言う。そしてやっぱり、他には誰もいない。う〜ん、どういうつもりなのかなぁ?ちょっと不信感から緊張する。ホアマンはまず、アオザイのお店に行くと言う。もともとアオザイを作りたいと思っていたので、「ま、いっか。」という気持ちではあった。そして連れて行ってくれたお店は本当に安かった。そして、そこで私たちは女の習性?を思う存分発揮し始めた。迷いに迷い始めたのである。ホアマンはこんな目に合うとは思っていなかったのだろう。ちょっと不機嫌っぽい。少しイライラした様子で日本語の勉強を始めた。でも、頼んでもないのに連れてきたのはあ・な・た。結局1時間後、私はチャイナドレスを作ることにした。本当はアオザイが欲しかったけれど、お店の人がチャイナドレスを薦めるのである。チャイナドレスの方が使える、とか裏地が付いていていい、とか。だからチャイナドレスを作る事にした。オーダーで50ドル。チイは迷いに迷ってもうちょっと考えることにした。チャイナドレスは明日ホテルに届けてくれると言う。
 次にシンカフェへ行った。メコン川クルーズの申し込みをするためである。他の旅行会社が40ドル位するのにシンカフェは7ドル。何でだろう?と思いつつ、この安さは魅力的である。ホアマンはなぜかビクビクしている。どうも他の旅行会社に連れてきてるのがばれたらマズイらしい。当然だと思う。でもそれ以上にシンカフェのある地区、デタム通りやファングーラオ通り周辺が怖いようだ。めったに来ないと言う。シンカフェのツアーオフィスは喫茶店の前にテーブルを置き、そこで予約を受け付けるというシンプルなものだった。ものの1、2分で予約が済み、シンカフェと道路を挟んで反対側にあるフルーツジュース屋で隠れるようにジュースを飲んでいるホアマンの所へと行く。お店の前に男の人と犬がいた。目が合うと男の人はほんの少し笑顔を浮かべて犬を指差し「食べる?」と言う。前にベトナムでは犬を食べると聞いたことがあった私はびっくりして「ノー!」と言って、聞く。「犬、食べるの・・・?」すると男の人は大笑いして「ノー!」と大きく手を左右に振る。よく見たら犬の後ろにはおいしそうなパンが並ぶガラスのショーケースがあった。あ〜、びっくりした。
 それからまたタクシーに乗り、安くておいしいという屋台へ向かう。途中、ホアマンが突然タクシーを止め「降りる」と言う。どうも運転手がメーターをいじって値段を上げたらしい。運転手の右手あたりにボタンがあって操作できるから気を付けろとのこと。そして、細工されたらすぐに「ストップ」と言って降りるよう教えてくれた。
 それからタクシーを乗り換え屋台へと行く。狭い路地で、人がひしめき合う所にその屋台はあった。いい雰囲気だ。ホアマンは「333」(バーバーバー)というビールがおいしいと薦めてくれた。その他に生春巻き・バインセオ・牛肉の香草炒めを頼む。どれも驚く程のボリュームだ。だけど本当においしい。話しをしているうちにホアマンと私たちは同い年だという事が分かった。ちょっと親近感が増す。2年間、日本語の勉強をしているそうだ。ちいがビールを「おいしい、おいしい」と飲んでいたらホアマンは突然、「バーに行きませんか?」と提案してきた。怖くなくて安全なバーがあると言うのだ。私たちは顔を見合わせ「え・・・。」と思ったものの、「私たち2人じゃ行かないよね。」ということで行ってみることにした。そして、まだ食べきれずに残っている料理をのんびりつついてると「お客さん、私、あまり時間ありません。ちょっと急いで下さい。」とせかされ、席を立った。21:00前だった。

遠慮してるのか、なかなか箸がすすまないホアマン。
 バーといってもいわゆる若者が集まるクラブだった。ホアマンが「カクテルとかはちょと高いからコロナビールがいいよ。」と言うのでそうした。コロナビールにライムは付き物だが、さらに塩まで付いてきた。どうするのか分からなくてきょとんとしていると、ホアマンが「中に入れるとおいしい。」と言ってビンの中に入れてくれた。すると泡が吹き出してきて大笑いしてしまった。ホアマンは飲み終えると私たちにホテルまでの帰り道を教えてくれ、さらにお店の女の子に私たちを頼んだ、とでもいう風な感じで何かを告げ帰ってしまった。
 ホアマンが帰った後、ずっと私たちの後ろにいたお店の女の子2人とちょっとずつ話し出した。お互いそんなに英語が得意ではなく、さらにお店の中がとてもうるさくて言ってる事がよく分からないので紙に書きながら話しをした。21歳と20歳のとてもかわいい2人だった。2人とも本当に笑顔のステキな子だった。私たちが25歳だと言ったらびっくりして「そう見えない。」と笑った。一緒に写真を撮りたかったけど、お店で禁止されていて写真を撮ることはできなかった。少しして2人ともいなくなったと思っていたらまたやって来て、何も言わずに自分のしていたブレスレットを私の腕に、指輪をちいの指にしてくれた。私はびっくりして嬉しくて、私も自分のしていたブレスレットをしてあげた。チイはあげれるような物を身に付けていなかったため、カバンからスカーフを取り出してあげようとしたら女の子たちはびっくりして「もらえない。」と笑顔で手を振る。本当にかわいい子たちだった。22:00を過ぎた頃、私たちは本当にいい気分でお店を出た。
 歩きながらホアマンはいい人だったのか、悪い人だったのか、そして目的は何だったのか話した。ホアマンは1円たりとも(1ドンたりとも?)お金を出すことはなかった。だからといって、ごちそうさまを言うわけでもなかった。「私たちはいいカモだったのかもしれないね。」なんて話してみたものの、「ホアマンがいなければあんな屋台にも行けなかったし、バーであんなに楽しい思いをすることもできなかったよね。」という結論に至った。決して高い物を薦めるでもなかったし、タクシーでぼられそうになったときもすぐに対処してくれた。自分がお金を払うんじゃないのに、だ。なので、ホアマンは悪い人ではなかった、ということにした。
 ホテルまでの帰り道、道端に何人かで座り込んでいるベトナム人たちが「ハイ!」と笑顔で手を振ってくる。ほろ酔い加減の私たちも「ハイ!」と笑顔で手を振り返す。ただそれだけ。誰も寄って来たりとか、不愉快になるようなことを言ったり、する人はいなかった。ただ気持ちのいい挨拶だった。ホテル前でも、バイクタクシーのお兄さんが「明日乗ってねぇ!」とニコニコ手を振ってくる。ホテルの人もとてもフレンドリーに迎え入れてくれる。みんな陽気だ。ベトナム1日目、何て気分のいい夜なんだ!


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