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ランカウイ島旅日記
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マレーシア

INDEX

12月10日(日)
 パヤ島へ行くツアーの集合時間が8:00にロビーであったため、眠い目をこすりつつ6:00に起き、ぼーっとしながら身支度を済ませ、朝食を取るためDAYANG CAFEへ歩いて行った。レザールは今日はお休みでいなかったが、ナワさんがニコニコと働いていた。そして料理を取って席に戻ってくると、今日もまた、なぜか朝食券が席に置かれていた。本当にタダになるのかな?
 8:00ちょっと前にロビーへ上がって行くと、ロビー前に大きなバスが停まっていた。他のツアーのガイドさんやツアーへ出掛ける人たちでロビーは賑やかだ。私たちは迎えのガイドさんのチェックを受け、あらかじめヒンさんに言われていた通り、ホテルからピンクのバスタオルを借りた。それからバスの近くへ歩いて行くと、昨日、ランカウイ島の地図をくれたコンシェルジュさんがいる。その人は私たちに気が付くと「ユ・・・、ア・・・」と私たちを指差し、一生懸命名前を思い出そうとしてくれた。「ユーコ、アヤコ、アイコ」と言うと、「あぁ、そうだった。」とでも言いたげに「ユーコ、アヤコ、アイコ」と繰り返した。それから何度か、私たちの名前を覚えてくれようと、私たち1人1人を指差しながら名前を繰り返した後、最後にもう1度1人1人を指差して「ユーコ、アヤコ、アイコ」、そして「ヒロシー。」と自分を指差して笑った。私たちも「ひろしぃ???」と自称「ヒロシ」を指差しながら大笑い。ヒロシ、やるな。それから「どこに行くの?」と聞くので「パヤ島に行く。」と言うと、「じゃぁ、このバスだ。」と大きなバスを指差す。「うん。」と笑っていると「レッツゴー」と腕を大きく振り、一緒に行く素振りをして笑っている。私たちも「わー、一緒に行こー!」と大盛り上がり。こんな風に親しげにしてくれるのが嬉しいし、とても楽しい。ここはいい人ばかりだなぁ。
 「バイバーイ」とヒロシに手を振り、バスの中へとステップを上がって行った。すると後ろから「アイコ」と呼ばれた気がして振り返ると、ボブともう1人のタクシードライバーが手を振っている。「あ、ボブだ。」と、私の後ろにいたアヤに言い、2人で手を振ってバスの中に入って行った。ボブは昨日の夜、本当に電話してきたのだろうか?
 バスは、ベルジャヤ・ランカウイから参加するツアー客を乗せると、次のホテルへピックアップに向かった。バスは次のホテルのロビー前で停まり、そのホテルからの参加者を待つ。再出発するまでに、結構待たされる。その上、バスの中は異様に冷房が効き過ぎていてとにかく寒い。私は羽織る物を何も持っていなかったので、ホテルで借りてきたバスタオルで寒さをしのぐ。う〜、寒い・・・。
 全員揃ったところでアメリカ人らしきおじさんが、何やら英語で説明を始めた。聞いていてもさっぱり分からないので、とりあえず、みんなが拍手した時だけ参加し、後は窓から見える景色を楽しんでいた。バスは人工の浮島、ランカウイ・コーラルへ向かうための高速船に乗るため、クア地区にあるJetty Pointへ向かっていた。「あ、昨日来た屋台だ。」「あ、昨日、おみやげ買った所だ。」「あ、大きなワシがいる所だ。」なんて思っているうちに、Jetty Pointに到着した。
 順番にバスを降りて行く。そこにはカメラマンが待ち構えていて、降りてくる人を端から順に写真を撮っている。きっと、後で記念写真か何かにして売るに違いない。私は、ガイドさんを探した。沢山のガイドさんが名前を書いた紙を高く掲げて、それぞれのお客さんを探している。ええっと、どこだ、どこだ?ここから色々な所へ船が出ているので、人もお店も多くとても賑やかだ。「あ、いた。」私の名前が書いてある紙を持ったサングラスをかけたガイドさんを発見した。ガイドさんは私たち3人の名前を確認し、自己紹介をしてくれた。名前はアイボンさん。「これを左胸に貼ってください。」とシールを渡され、手首に何かを巻かれる。これで、船への出入りを自動的にチェックできるらしい。もし、帰りに誰かが船に乗っていなければ、これで人数の確認ができるので分かるそうだ。なので、帰って来るまで絶対に取らない様にと言われる。そして、「もう1組待ってるから、それまでこの辺でも見ててください。」と言われ、3人で少しウロウロしていた。

Jetty Pointの入口にて。
 少ししてアイボンさんの方を見ると、もう1組の日本人女性2人組が来ていた。「あ、来たみたい。」と合流する。揃ったところでアイボンさんは、「ちょっと早いけど、席がなくなっちゃうから行きましょう。」とスタスタと歩いて行く。ボヤボヤしていると置いていかれそうな速さだ。税関などもあり、ちょっと興味津々でゆっくり見てみたかったが、そんなヒマはない。建物内を抜け、ランカウイ・コーラルへ向かう高速船の所まで来ると、右手の方に昨日見た大ワシの像が見えた。ここから見る大ワシもいいなぁ、と思ったが、やはりゆっくり見ている余裕はなさそうだ。アイボンさんはどんどん行ってしまう。
 船の周りにはマリン服を着た船員さんたちが沢山いて、ニコニコと歓迎してくれる。そして船に乗り込むとき、みんなが「おっはー。」と「おっはー」のポーズをする。みんなが知っていることに驚きながらも、私が昨日モハンに教えたのは間違いじゃなかった、とニンマリ。そして笑顔で、「おっはー」と「おっはー」のポーズで返す。みんな陽気そうだなぁ、とワクワクしてきた。
 船の中にはまだ、ほとんど人がいなかった。アイボンさんは、出入口に近い後ろの席に座るように言う。それから簡単に説明を始めた。気持ちが悪くなったらここに袋があるとか、トイレはどこだとか、一通り船の説明をしてくれた後、船がランカウイ・コーラルに着いてからの説明を始めた。「私がまず席を取るから、そこに荷物を置いて、すぐにゴーグルと自分のサイズに合うフィンを取りに行ってください。そして席に戻って来たら、ショータイムね。」と、体をくねらせ服を脱ぐ真似をして笑う。「みんな水着は着てきてますか?」「はーい。」と5人で声を揃えて返事をする。「じゃ、いいね。」と満足気にアイボンさんは言い、「それからすぐに海へ入ってください。お昼は船でのバイキングです。お昼は○時から(忘れてしまったけど・・・)だけど、ちょっと早めに戻ってきてね。日本人はいい人だから、欧米人が来るとどんどん後ろに追いやられて、後ろで『あー、あー。』ってなっちゃうから、1番に取りに行きます。」と笑う。「何でも早め早めね。」と笑い、去って行った。計画的でしっかりしているというか、せっかちというか。本当に早めに行動するのが好きな人だという事はよく分かった。
 だいぶ席が埋まってきた頃、やはり冷房が効き過ぎていて寒い船が、ランカウイ・コーラル目指して海の上を滑り出した。パヤ島までは約1時間かかる。初めは周りの景色を見たりして楽しんでいたが、あまり寝ていなかった私たちはウトウトしたり目を覚ましたりしながら、あっという間にパヤ島の近くまで来た。木がこんもりと生い茂った島が見えてきた。目を覚ますといつのまにか隣りに座っていた船員さんが、「あれがパヤ島だよ。」と教えてくれた。するとアイボンさんがやってきて、「もうすぐ着きます。着いたら早く降りてきて、荷物を置いて、すぐにゴーグルとフィンを取りに行ってね。早め、早めね。」と、私たちの席を取るため、出口の方へ行ってしまった。
 船がランカウイ・コーラルに着くやいなや、私たちはアイボンさんに言われた通りさっさと船を降り、「こっち、こっち。」と手招きするアイボンさんのもとへ行き荷物を置いて、ゴーグルとフィンを取りに行った。私たちは早く行動したおかげで誰にも邪魔されることなく、好きなサイズを探すことができた。ランカウイ・コーラルからパヤ島までは少し距離があり、パヤ島の真っ白なビーチに近い辺りの海の色は、くっきりとエメラルドグリーン色になっている。その周りの海は真っ青で、空もまた、海に負けないくらい真っ青である。否が応でも興奮してくる。さらに、よくよく海の中を覗きこんでみると魚がウヨウヨ泳いでいる!「うわぁっ、見て見て!魚があんなにいっぱいいるー!」私の興奮は最高潮に達する。「すごい、すごい、すごいっ!」


あふれんばかりの木々と、エメラルグリーンの海を持つパヤ島。

 席に戻るとアイボンさんが、「はい、じゃ、次はショータイムね。」と笑っている。Tシャツやらジーンズやらを脱ぎながらゴーグルやフィンが入っているかごの方を見てみると、沢山の人がおしあいへしあい、自分のサイズを探しているのが目に入った。「アイボンさんの言う事聞いて良かった〜。」と思わずにいられない。水着姿になったところで、アイボンさんが順番に手際良くライフジャケットを着せてくれる。それから「魚のエサね。」と何枚かのビスケットをくれ、「さぁ、入って、入って。」と追いやられるように階段を下りて行った。
 下りて行って気付いたのだが、もうそこには沢山の魚たちがウヨウヨと泳いでいる。あまりにも多すぎて、最初の1歩はなかなか勇気がいる。が、入ってしまえば何て事はない。とにかく、そこらじゅうが魚だらけだ。あまりカラフルな魚ではないけれど、とにかく嬉しくてたまらない。ビスケットを少し離れた所に投げると、一気に魚がそこに集まってきてパクパク口を動かしている。面白い。夢中になって投げ続け、ビスケットがなくったところで顔を水に付け、魚でいっぱいの海中を見ながら泳ぎ回っていた。すると急に魚が集まってきて、体中をつついてくる。「痛いっ。」と思って顔をあげると、上からアイボンさんが私たちの周りにわざとビスケットを投げ込んで笑っている。「ひゃー、やめてー。」と騒いでいる私たちを見て笑っている。どうも早めの行動とイタズラが好きらしい・・・。
 
水中カメラにて。ものすごい数の魚たち。
 ランカウイ・コーラルの近くにいるとまたアイボンさんにイタズラされるので、少し離れた所へ泳いで行った。素潜りもするアヤが「これ着てるともぐれなくてやだ。脱いでもいいかな?」と言って、ライフジャケットをランカウイ・コーラルへ置きに行き、それから潜ったりし始めた。かっこいい〜。それから私たちは、パヤ島の真っ白なビーチまで行ってみる事にした。ビーチはとても綺麗だ。だけど、特にビーチでする事もないし、ランカウイ・コーラルから離れれば離れるほど魚が少ないので、また、ランカウイ・コーラルの近くに戻って行った。海の中は下までよく見え、日の光が差し込んでいてとても綺麗。ウニやナマコも見える。あぁ、幸せだぁ。
 そろそろお昼の時間なので、アイボンさんに言われた通り早めに戻る。そしてバイキングの準備ができるとすぐ、私たち6人は料理を取りに行った。1番乗りである。おかげでゆっくりと好きな物を取ることができた。私たち6人が席に着き、「いただきまーす。」とゆっくりランチを堪能している頃、みんなが料理に群がってるのが目に入った。やっぱりまた、「アイボンさんの言う事聞いて良かった〜。」と思わずにいられない。
 食べ終わってからまず、海中を見る事ができる展望室のような場所があるので、階段を下りて行ってみる事にした。階段を下りようとしたまさにその時、「あぁっ。」と後ろからアイボンさんが大声を出した。行っちゃいけないのかとびっくりして振り返ると、「ウソ、ウソ。行って大丈夫。」と笑っている。やっぱりイタズラ好きだ・・・。そこから見る景色もすごかった。大きな魚が群れをなして、右に左に泳いで行く。午前中、こんな中で泳いでいたのかと思うと、少し怖いくらいである。それから上に戻り、海の中を覗きこんだり、ビスケットを投げ入れたりしていると、バナナを食べながらアイボンさんがやってきた。そして「これ、魚、大好きだよ。」とバナナの皮を投げ入れた。すると魚が、ビスケットなんて目じゃない位、バナナの皮に群がってきた。「え、バナナの皮も食べちゃうの!?」と驚いていると、「魚はフルーツが好きなんだよ。」と教えてくれた。やっぱり南国の魚は違うな、多分・・・。

海中展望室からの眺め。まるで水族館。
 午後はグラスボートに乗って、隣りにあるもう1つのビーチへ行く事になっている。そこではサメの餌付けもやるらしい。私たち6人はグラスボートに乗り込み、ボートの真ん中にあるガラス張りの部分を覗きこみながら、隣りのビーチへ向かった。隣りのビーチと言っても、ボートで5分位の近さである。海の中にある小さな船着場でボートから降り、桟橋を歩いてビーチへ行く。こちら側のビーチも真っ白で綺麗だが、それよりも何よりも水の透明度がすごい。この透明度をどう表現したらいいのだろう?TVや本でしか見た事がなかったような透明度に大感激である。

隣りのビーチへ向かうグラスボート。
 みんなが集まると、1人のおじさんがサメに与えるエサ(肉だったのか何だったのか忘れてしまった・・・。)を持って現れ、みんなで膝くらいの深さまで海の中に入った。そして、おじさんがみんなの足元にサメのエサを放り投げると、数匹の小さなサメと魚たちがうわ〜っと集まってくる。私の足元にもエサが投げられ、サメが私の足にぶつかってくる。絶対に大丈夫だとは思っていてもちょっと怖い。「ひゃぁ〜。」と声を出してしまう。そんな私たちを、アイボンさんは満足気に桟橋の上から見ている。餌付けが終わり、ビーチでシュノーケリングに行く準備をしてボーっと立っていると突然、「サメーっ!」と後ろから足首をつかまれ、「うわぁっ。」とびっくりして振り返ると、笑いながら桟橋の上に逃げて行くアイボンさんがいた。「もぉーっ。」と私が怒り、「サメーって・・・。」とユーコが呆れている。そして、アイボンさんは桟橋の上で、「すんまそーん」と「おさる」の真似をして笑っている。私は、「日本で流行っていることをよく知ってるなぁ。」と感心するものの、アイボンさんは、本当にイタズラ好きだ・・・。しかも懲りもせず、もう1組の女の子達の所でも「サメーっ。」とやっていた。好きだね、ホントに・・・。楽しくていいけど。
 それから私たちはシュノーケリングを始めた。ここにはさっきほど魚はいない。だけど、水がとても綺麗だ。時々ダイバーが近くを通り、びっくりする。かなりのんびりとシュノーケリングを楽しんだ後、グラスボートでではなく、島の淵にある遊歩道のような所を通って隣りのビーチまで行き、そこから泳いでランカウイ・コーラルに戻ることにした。木でできた遊歩道は太陽の熱で暖められており、裸足で歩いて行くにはちょっと熱すぎた。私たちは「熱いっ。」と言いながら、なるべく足の裏をつけないよう、爪先立ちで跳ねるように歩いて行った。遊歩道が終わると今度は、藤壺のような小さな貝が沢山付いている岩場があった。今度は「痛いっ。」と言いながら、目の前にあるビーチ目指して歩いて行った。それから海に入り、ランカウイ・コーラル目指してのんびり泳いで行った。ランカウイ・コーラルに近づくにつれ魚が増えてきた。最後にこの魚の群れを楽しんで、上へ上がって行った。アイボンさんが「もう泳がないの?」と言う。もう、戻る時間だと思っていた私たちは「あれ?まだ時間あったんだ。でも、もういいよね。」と言い、シャワーを浴びた。

ものすごく透明度が高い海。感動。
 まだ時間もあるし、体が冷えてきた私たちはサンデッキになっている上の階へ上がって行った。周りの景色を楽しんだり写真を撮り合った後、デッキチェアに座りしばしのお昼寝タイム。冷えていた体が温まり、それを超え熱いと感じ始めた頃、ちょうどいい時間になったので下に下りていき、水着を着たまま洋服を着た。中途半端に寝てかなり眠くなってしまった私たちは、高速船に乗るなり最前列へ行き(きっとアイボンさんは出入口に近い後ろの席に座って欲しかったに違いない。)、行きとは打って変わって熱い船の中、ぐっすりと寝入ってしまった。

どこまでも真っ青な海と空が続く。
 突然、アヤの声で目が覚めた。「ねぇ、何かいるみたいだよ。」私たちが座っている方ではない窓の方にみんなが集まっている。何だったのかは分からなかったけれど、イルカの類が泳いでいるらしかった。一瞬「運が良ければイルカが見れるよ。私も最近見てない。」と言っていたアイボンさんの言葉が頭がよぎった。でもまだ寝ぼけていた私は「おー、今日はラッキーな日なんだ。」とだけ思い、何も見えないまま窓側に行ってみるという事さえせず、3人でボーっと立ち尽くし、みんなが席に戻り出すと同時に座り込んでまた寝入ってしまった。今思うと本当に悔しい。イルカが大好きで、いつか野生のイルカと遊んでみたいと思っている私なのに・・・。何てこった!見たかった〜!
 船がJetty Pointに着くとすぐ、私たちはアイボンさんについてさっさと船を降りた。行きと同じように、マリン服を着た沢山の船員さんに「さよなら〜」と見送られて足早に進んで行く。出るとまず、バスを降りた時に撮っていた写真がプリントされたお皿を見せられた。「お皿だったんだぁ。」と、とりあえず自分のを見てはみるが買おうとは思わない。アイボンさんはよく分かっていて「はい、誰も買わないねぇ。」と、さっさと私たちの乗るバスに案内してくれる。先に、もう一組の人たちがバスに案内された。眠くてボーっとしていた私は「じゃぁねぇ。」と手を振る二人にくっついて、アイボンさんに「ありがとうございました〜。」と言いながらバスに乗ろうとしてみんなに止められ、大笑いされた。恥ずかしい・・・。それから私たちは「みなさんは夜はBarn Thaiに行きますね。18:00にガイドが迎えに行くのでロビーに来て下さい。じゃ、ありがとうございました。私は自分の車で帰ります。さようなら。」と、あっという間に去って行った。「あ、写真撮らなかったね。」「そうだね。」アイボンさんは、一緒に写真を撮るのも忘れてしまうほど「早め、早め」の人だった・・・。
 帰りのバスはとても静かだった。みんな、カーテンを引き薄暗くなったバスの中、疲れて静かに寝ていた。私も最初は寝ていたのだが、突然目が覚め眠れなくなってしまった。カーテンを引いているので外の景色も見れない。でも、外の景色を見たかった私はみんなの迷惑にならないよう、カーテンをかぶって外の景色を眺めたり写真を撮っていた。途中で目を覚ましたアヤに見られ笑われてしまった。それにしても、やっぱりランカウイ島の景色って素晴らしい。ジャングル、やしの木、田んぼに水牛。本当に気持ちいい。

バスの車窓から。とても気持ちのいい風景。
 ホテルに戻った私たちは、部屋に戻る前にツアーの特典としてもらっていたウエルカムドリンクの券を持ってロビーにあるバーのような所へ行った。疲れた体にトロピカルジュースが素晴らしくおいしい。天井はとても高く、いくつものファンが回っている。木作りの壁には、よく見ればたくさんのヤモリが張り付いている。外の景色と言えば海と沢山の木々、そして、そのかわいい見た目からは想像もできないような声で「ギーギー」と南国の鳥の声を出す小鳥たちがいる。あぁ、優雅だ。あぁ、南国だ、リゾートだ!
 すっかりくつろいだ私たちは、シャワーを浴びに部屋へ戻る。本当は、これまたツアーの特典として無料で入れるスパに行こうかとも思っていたのだが、さすがにそこまでの元気はなかった。「もう、いいよね。」と、部屋のシャワーで済ます事にした。明日の早朝にチェックアウトしなければならないので、できるだけ荷物の整理をしておく。それから私たちは、のんびりと周りの景色を楽しみながら、ロビーへと歩いて行った。

右が、私たちの部屋、5119。本当に山の中のコテージにいるよう。
 ランカウイ島の夕焼けの光はとても強い。目がくらみそうなオレンジ色の中から、サングラスをかけたヒンさんが現れた。「あー、ヒンさん!」私たちは昔からの知り合いにでも会ったかのようにヒンさんの登場を喜んだ。「Barn Thaiへは私がお連れします。」と笑顔のヒンさん。車に乗り、ゆっくりと坂を下って行く。「花×花」の曲がかかっている。私たちが日本人なので、気を利かせてかけておいてくれたのだろう。ホテルの坂を下り少し行くと、右手にやしの木が沢山植えられているビーチがあり、何か綺麗な赤い建物がある。ずっと気になっていた私たちは、「あれは何ですか?」とヒンさんに聞いてみる。「あれは、映画の『アンナと王様』の撮影で使った建物です。」と教えてくれた。『アンナと王様』の撮影がランカウイ島で行われてたなんてちっとも知らなかった。日本に帰ったらビデオを見てみようと、密かに思った私。(でも、まだ見ていない・・・。)
 車はBarn Thai目指し、快調に進んで行く。途中、1台のバイクに3、4人の子供を乗せ走っているのを見かけ、びっくりして笑い合ったりした。ヒンさんの携帯電話が鳴り、中国語で話すヒンさんにびっくりしたりもした。左側に海が見え始め、夕焼け時の空と海が赤く染まっている。「きれー」と、3人で写真を撮ろうとしていると、「写真撮りたい?もう少し先にもっといい所があるから、そこで停まります。」とヒンさんが言ってくれ、少し先の駐車場に車を停めてくれた。そこはPasir Hitam、日本名で言うところの黒砂海岸だった。まさか観光名所の1つである黒砂海岸に寄れるなんて思ってもみなかったので、本当に嬉しい。ヒンさんについて何軒も連なるおみやげ屋さんの間を抜け、ビーチへ出た。ちょうど目の前に見えている、山の向こうに太陽が沈んでいく所だった。見事なまでの夕焼けに感動する。そこで少し、ヒンさんの黒砂海岸にまつわる思い出話を聞いた後、すっかり暗くなった道を戻って行った。そして真っ直ぐ、タイ料理レストラン「Barn Thai」へと向かった。

黒砂海岸での夕焼けをバックに。

同じ黒砂海岸での夕焼け。奥にある島はもう、タイランド。
 駐車場に車を停め、「ここから先はどんな風になっているんだろう?」と思わせるような、ワクワクするような入口に入って行った。このレストランの売りは、おいしい料理もさることながら、この入口からレストランの入口まで続く桟橋だろう。何と430メートルもマングローブ林の中の桟橋を歩いて行かないとレストランには行けないのだ。両側をマングローブに囲まれた木の桟橋を歩いて行く。点々とランプが灯され、とても雰囲気がいい。Barn Thaiへは絶対に夜行くべきだと思う。桟橋の下には水が流れている。ヒンさんが「今は潮が引いてるから水が少ないけど、帰る頃にはもっと水が増えていますよ。」と教えてくれた。この他にも、「マングローブ」という名は木の名前ではなく木の種類の事であって、マングローブにも色々な種類があることや、マングローブの種のしくみについても教えてくれた。水で柔らかくなった土にうまく種を落とし、流されてしまわないように、マングローブの種は細長く、そして土にささり易いように先が尖っているのだそうだ。そんな話しをしていると偶然とは思えないほどうまい具合に、マングローブの種が桟橋の真ん中に1つ落ちていた。あまりにも出来すぎた偶然だったので、みんなで大笑いする。そしてマングローブの種を見たアヤが、「きゅうりだー。」と叫んだ。ユーコも私も大笑いだったけど、ヒンさんが一番、「きゅうりじゃないよー!」と大笑いしていた。
 そうこうしているうちに、あっという間にレストランに着いた。レストランの中はさらに雰囲気がいい。本当に来て良かった〜。とりあえず席に着き飲み物を頼んだ後、ヒンさんが「外も見てみるといいよ。」と言っていたので外のテラスへ出てみた。下は川が流れ、目の前は崖になっていて、周りには沢山のマングローブが生えている。マングローブが緑のライトで照らされていてとても綺麗だ。感動しているとカウンターに座っていたヒンさんがやってきて、「昼間は、目の前の崖にサルがいっぱいいて、たまに川に落ちてるサルもいます。」と笑う。私たちも「へぇ、おかしい。」と笑う。昼間のそのサルたちも見てみたいけど、やっぱりBarn Thaiは夜がいいと思う。

430メートル歩いた後たどり着くレストラン入口。
 夢中になって辺りを見回していた私たちに「もう飲み物も料理も出てるよ。」と、ヒンさんが声をかけにきてくれた。大変、大変とばかりに、慌てて席へ戻る私たち。おいしそうなタイ料理が次々と出され、テーブルは料理でいっぱいになった。どれもこれもとてもおいしい。が、ものすごく辛い物もある。「う、これ辛いっ。」と言いながら辛い料理を食べたり、「何かこれ食べると安心するよね。」と言いながら辛くない料理で口の中を中和したりしながら、楽しいBarn Thaiでのひとときを過ごした。レストランのスタッフもみんなとても感じが良く、料理を出したりお皿を下げたりする時に、何か声をかけていってくれる。あるスタッフが「私の兄弟が日本にいます。」と言うので、「そうなんですか。日本のどこにいるんですか?」と聞くと、「東京です。ふふん。谷村新二。」と笑う。本当だ、そう言われてみれば谷村新二に似ている。おかしい。私たち3人も笑う。本当にみんな陽気だ。

レストラン内の様子。とても雰囲気がいい。
 お腹がはちきれそうな程の料理を食べた後、フルーツの盛り合わせというデザートでBarn Thaiでの食事が終わった。私たちはレストランの入口の所でヒンさんと一緒に写真を撮ってもらい、陽気なスタッフたちに見送られて、また、430メートル続く桟橋を歩いて行った。食べ過ぎたお腹にはいい運動である。ふと桟橋の脇を見ると、ヒンさんが言っていた通り、ずいぶん水が満ちてきていた。あまりに水かさが増していたので、「すごーい」と驚く。駐車場に着き車に乗り込む。道路へ出ると、道路が濡れていた。どうもスコールがあったようだ。この3日間、私たちはスコールに会う事はなかった。それもラッキーだったと思う。

ガイドのヒンさんと一緒に。
 ホテルに戻り、ロビー前でヒンさんが、「じゃ、明日の朝5:00にロビーへ迎えに来ますから、寝坊しないでくださいね。私はもう、寝ません。」と笑う。そうだ、明日は5:00までにロビーへ来てチェックアウトを済まさなければならないのだ。つらいなぁ。しかし、ヒンさんはもっと大変だ。これからまだ仕事があるそうだ。24:00に空港へお客さんを迎えに行き、そして明日は5:00に私たちを迎えに来るのだ。ガイドさんって、本当に大変だ。 ヒンさんに、「じゃぁ、またあと何時間後かに会いましょう。おやすみなさい。」と言われ別れた後、ロビーへ入って行くと、ちょうど人がほとんどいなかった。これはチャンスとばかりに、この夢のような3日間、何度も足を運んだロビーを記念に残そうと写真を撮る。

ホテルロビー。ワンダフルー!
 私たちはみんなと写真を撮ろうと、DAYANG CAFEへ行く。たまたま側を通りがかった女性スタッフに「コックのマンさんを呼んでください。」と、アヤが頼んでくれる。その女性スタッフは、「そんな人いたかしら?」というような表情を浮かべながら奥へ入って行った。そして、「もう少ししたら来ます。」と言われ、私たちはDAYANG CAFEの入口でマンさんの登場を待っていた。けれどもマンさんはなかなかやって来ない。「おかしいね。」「でもさっきの女の人、もうすぐ来る、って言ってたよね。」などと言っていると、私たちに気付いたナワさんがやって来た。「あ〜!ナワさん!」と、3人でナワさんの登場を喜んだ。アヤが、マンさんを呼んでもらっている、という事を話すと、ナワさんは、マンさんはさっき帰ってしまった事を教えてくれた。「え??」私たち3人はキツネにでもつままれたような気分だった。一体どうなってるんだろう?でも、帰ってしまったものは仕方がない。とにかくナワさんには会えて良かった。私たちはナワさんと一緒に写真を撮る。その後、アヤとナワさんが話しをしていると、「ホント?」とアヤが嬉しそうな声をあげた。「何?どうしたの?」と聞くと「手紙書いてくれるって。」と、住所の交換を始めた。「あ、住所は教えても良かったのか・・・。」と、レザールに住所を教えるのを拒んでしまった事を反省。悪い事したなぁ。ごめんよ、レザール・・・。

DAYANG CAFEにて、ナワさんと。
 私たちのこんなやりとりを、ちらちら見に来ては笑っているショーケンを捕まえ、「一緒に写真を撮ろう。」と手招きする。が、ショーケンは恥ずかしがって、「いいよぉ。」という風に照れながら手を横に振る。「えー、せっかくだからぁ。」と、半ば強引に一緒に写真を撮る。他のスタッフが遠巻きに見て笑ったりしている。こうしてナワさん、ショーケンと写真を撮り終えた後、「来年も来る?絶対だよ。」というナワさんの笑顔に見送られ、DAYANG CAFEを後にした。

照れるショーケン。
 それからロビーへ上がって行き、この夢のようなホテルでの、そして、ランカウイ島での最後の夜を名残惜しむかのように周りを見回しながらゆっくりと部屋に向かって歩き出したとき、ヒロシがニコニコしながらやってきた。「あ〜、ヒロシだぁ!」私たち3人はすぐさま、「写真撮ろ〜!」とカメラを見せる。そして、ユーコと私がヒロシの両脇に立ち、ヒロシを真ん中にして最後の記念撮影を終えた。ヒロシは最後まで、とても愉快な人だった。

とても愉快なヒロシ。
 あっという間の3日間だった。ランカウイ島で出会った人たちはみんないい人たちばかりだった。また絶対、ランカウイ島に来たいと思う。さぁ、部屋に戻って帰り支度をしなければ。明日は早いぞ。



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